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「白酒」と「甘酒」の違い 子どもでも飲める? ひな祭りに知りたい豆知識を聞いた
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教えてくれた人:和漢 歩実
3月3日は桃の節句、ひな祭りです。ちらし寿司やハマグリのお吸い物などの定番料理を食べ、ひなあられやひし餅など伝統的なひな菓子でお祝いをします。また、白酒(しろざけ)や甘酒を飲むこともありますが、違いはなんなのでしょうか。お酒なら、子どもが飲むのはNGなはず。白酒や甘酒について、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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白酒は甘みが強いお酒 子どもが飲むのはNG
白酒とは、蒸したもち米や米麹をみりんや焼酎などの酒を混ぜて仕込んだ、甘みが強いお酒です。アルコール分は9%前後。白く濁った色で、とろみがあります。もともと桃の節句は「上巳の節句」で厄払いの儀式として中国から伝わり、穢れを洗い流すために桃の花を白酒に入れて飲む習慣がありました。
江戸時代になると、上巳の節句は女の子の健康や成長を願う行事となりました。ひな祭りの酒として白酒が販売されると、独特のとろみと甘みが女性にも飲みやすく大人気に。ひな祭りに欠かせないお酒として、全国に広がっていったといわれています。
ただし、白酒はアルコールなので、ひな祭りの主役である子どもは飲むことはできません。そこで、子どもが白酒の代わりに飲む物として、見た目も白くて似ているアルコールを含まない甘酒がひな祭りに用意されるようになったといわれています。ちなみに白酒は、酒税法により家庭での製造が認められていません。
甘酒には原料によって2種類ある
甘酒は、江戸時代の頃から広く飲まれるようになったといわれています。当時は夏の栄養補給のため、冷やして飲むのが人気でした。一晩でできることから一夜酒(ひとよざけ)とも呼ばれ、昔から手作りされてきたようです。
米麹に米と水を混ぜて、60度ほどの温度で数時間かけて発酵させた甘酒は、でんぷんが糖化した優しい甘さが特徴。体のエネルギー源となるブドウ糖のほか、「代謝のビタミン」と呼ばれるビタミンB群、体をつくるたんぱく質の合成に欠かせないアミノ酸などの栄養が豊富です。腸内の善玉菌であるビフィズス菌のエサとなるオリゴ糖も多く含まれ、腸内環境も整います。
また、麹菌には消化吸収を助ける働きがあり、免疫機能の維持が期待できます。疲れを感じているときや、体調を整えたいときにもおすすめです。
甘酒にはもうひとつ、酒かすから作るものもあります。酒かすとは、日本酒を作ったあとに残るもの。これに水と砂糖を加えて加熱しながら煮溶かします。不溶性の食物繊維やたんぱく質、ビタミンB群は、米麹の甘酒より豊富とも。
酒かすに含まれているアルコール分は、加熱により飛ぶと考えられていますが、微量ながら残っています。そのため、アルコールが苦手な方や子どもは飲まないほうが良いでしょう。
ひな祭りを祝う際は、子ども向けに米麹の甘酒を用意しておくのをおすすめします。ただし、ノンアルコールだからといってたくさん飲んで良いものではありません。カロリーも高いので、飲みすぎないようにしましょう。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾