カルチャー
ラーメンとビールで会計7000円 海外は本当に暮らしやすい? 駐在夫が肌で感じたニューヨークの物価高騰
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長く続く円安や賃金が上がらないなどの理由から、コロナ禍以降、若者の日本離れなどが報じられています。しかし、給与が高いとはいえ、暮らしやすいものなのでしょうか? 妻の海外赴任に伴い、ニューヨークで駐在夫、いわゆる「駐夫(ちゅうおっと)」になった編集者のユキさん。この連載では、「駐夫」としての現地での生活や、海外から見た日本の姿を紹介します。第2回は、アメリカ・ニューヨークのおそるべき物価の高さについてです。
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いまさらながらニューヨークの物価高
日本国内の低賃金や円安などが原因で、海外で出稼ぎをする日本人が増えているといったニュースを見かけることが増えました。海外で働いたら年収が数倍になったという成功談を見かけることもあります。
私は海外赴任になった妻に帯同して、現在はニューヨークで暮らしていますが、こちらにいると実際に現地で働く日本人と出会うことがあります。私の妻と同じ駐在員から、起業家や美容師、寿司職人、ダンサー、何をやっているのか正体不明の人たちまで。なぜこちらで働くことになったのか、どういった生活を送っているのかは人それぞれなのですが、共通するのは海外在住ならではの悲喜こもごも。みんな、これまでにない経験をすることがあるといいます。
そして、実際に賃金は日本に比べると高水準。今年1月から、ニューヨーク市の最低時給は16ドル(約2400円)に引き上げられました。東京都の最低時給は1113円ですから2倍以上です。その一方で、日本でもよく報道されているように、ニューヨークの物価は常軌を逸していて、これには生粋のニューヨーカーもさすがにご立腹の様子。
「今のニューヨークは、世界一物価が高い。いや違う、歴史上で最も物価が高い都市なんだよ」
歴史上というのが正しいかどうかはさておき、日本で生活していたときとは考えられないくらいの物価高です。
ニューヨークの豚骨ラーメンは1杯3000円以上!?
新年のカウントダウンで有名なタイムズスクエアから歩いて5分ほどのところに、ラーメン店の「一風堂」があるのですが、豚骨ラーメン1杯(赤丸/Akamaru)が21ドル(約3150円)。ビールを1杯飲むとして、それが15ドル(約2250円)です。これはこちらに住んでいる感覚としても、生ビールは10ドル前後くらいが相場なので、やや高いかなと感じます。
それにチップが加わります。クレジットカードで支払いを済ませると、その明細に20%、22%、24%などと3種類の推奨されるチップのパーセンテージが表示され、そのどれかにチェックをつけるのが一般的です。20%として7.2ドル(これまで一番少ない金額以外のところにチェックしたことはありません)。これに消費税(ニューヨークでは8.875%)3.2ドル(約480円)が加わり、合計で46.4ドル(約6960円)になります(2024年2月時点)。
また、トッピングを足すと、たとえば玉子が3ドル(約450円)、サイドメニューの唐揚げが13ドル(約1950円)です。日本食だから高いというわけではなく、外食をするとだいたいこんな感じになります。パスタを頼んでも、20ドル以下だと安いなと思いますので。
ニューヨークにある紀伊国屋書店に求人募集が貼ってあったのですが、書店員のアルバイトの時給は17.5ドル(約2625円)とありました。
物価を考慮し、それを高いとみるか、安いとみるか。海外生活を送るうえで、物価と賃金のバランスは考えておいたほうが良いかもしれません。
※1ドル=150円で換算。
(ユキ)
ユキ(ゆき)
都内の出版社で編集者として働いていたが、2022年に妻の海外赴任に帯同し、渡米。駐在員の夫、「駐夫」となる。現在はニューヨークに在住し、編集者、学生、主夫と三足のわらじを履いた生活を送っている。お酒をこよなく愛しており、バーめぐりが趣味。目下の悩みは、良いサウナが見つからないこと。マンハッタン中を探してみたものの、日本の水準を満たすところがなく、一時帰国の際にサウナへ行くのを楽しみにしている。