カルチャー
「知らない日本人はけっこう多い」 博識のイタリア人教授が日本の好きな場所で発見した偉人とは
公開日: / 更新日:
外国人からすると、日本の文化や歴史、景色などさまざまなものが新鮮に映ったり、日本人と感性が異なると感じたりする場合は多くあるでしょう。日本に10年間居住したことがあるという、イタリア人大学教授のジャコモ・ジョージさんもそのひとり。日本生活で見つけた、意外すぎるお気に入りスポットを教えてくれました。いったいどこなのでしょうか。
◇ ◇ ◇
日本初の公園墓地がお気に入り
日本に10年間在住した経験がある、イタリア人化学者のジャコモさん。日本では、東京大学の先端技術研究所で特任助教授として勤務していました。現在は故郷であるイタリア中部の都市ペルージャに戻り、ペルージャ大学工学部で教鞭を執っています。
妻は日本人で、ジャコモさんは日本にいる間、さまざまな文化に触れてきました。そんなジャコモさんに、日本でとくに印象に残ったスポットを尋ねてみると、とても意外な場所の名前が挙がりました。
その場所とは、多磨霊園。妻の実家近くに滞在していた際に訪れたのがきっかけで、お気に入りのスポットになりました。
多くの著名人が眠る多磨霊園
多磨霊園は、海外の森林墓地を参考にして作られた、日本初の公園墓地として1923年に開園。きちんと区画整備された自然あふれる園内は、散歩やランニングにも利用されています。ジャコモさんもよくランニングで訪れました。
「多磨霊園は近所の人たちの散歩ルート。カメものんびり歩いているくらいなんだよ」
墓地でありながら、穏やかな空気が流れている点に惹かれたジャコモさん。また、気に入った理由は、それだけではありません。
園内には文学者の与謝野晶子や漫画家の長谷川町子、政治家の高橋是清など、各界の著名人が多く眠っています。ジャコモさんは霊園を散策中に、ある有名な日本人の墓を発見しました。
「平岡公威の墓を見つけたよ。この名前に聞き覚えがない人は多いと思う。実は、三島由紀夫の本名。彼の遺族の意向によって本名で葬られているんだ。これを知らない日本人はけっこう多いと思う」
三島由紀夫は、日本を代表する作家のひとり。東京大学(当時は東京帝国大学)在学中の1944年に「花ざかりの森」でデビュー。このときに初めて「三島由紀夫」というペンネームを使用しました。その後、初めての書き下ろし長編小説「仮面の告白」や「潮騒」「金閣寺」などの傑作を生み出し、海外からも高く評価されています。ノーベル文学賞候補にも挙がったほどでした。
芸術家・岡本太郎の墓もお参りしたことがあるそう。日本の墓参りは普段着で良く、手を合わせるだけでも問題ありません。かしこまった作法がなく、故人に敬意を払うことができる日本のスタイルは、ジャコモさんにとって新鮮だったかもしれませんね。
(Hint-Pot編集部)