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約4割がPTAで「嫌な体験した」、保護者の本音は? 2000人調査
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PTAサポートの専門家に聞くPTAの現状 ツールで作業効率化も
実際に、これからのPTAはどうあるべきなのでしょうか。アンケートの結果を受けてPTA業務のアウトソーシングをサポートする「PTA’S(ピータス)」代表の増島佐和子さんに、現状や対策について伺いました。
――PTAとは、本来どんな役割を持って存在している団体なのでしょうか。
「そもそもPTAとはParent Teacher Associationの略で、保護者と教師が協力して学校運営に携わり、子どもにより良い教育環境を整えるために立ち上がった、社会教育関係団体のひとつです。加入義務を明示した法律もありませんので、加入は任意。保護者の自由意志が尊重されることが大前提となっています」
――共働き世帯が半数を超え、PTAで嫌だと思うことに「やることが多くてとにかく大変」など、時間と作業量のバランスを挙げる声もありました。実際にどのようなご相談が多いですか。
「相談は、保護者の方よりも、PTAの役員の方が多く、みなさん悩まれています。共働き世帯の増加や介護など、時代とともにPTAに十分に時間を割けないご家庭が増えています。できるだけ保護者の負担を軽減することで、無理のない組織運営をお考えのようです。そこで、各種ツールを使った作業効率化やアウトソースのサービス活用など、負担軽減のアドバイスをさせていただいています」
これからのPTAとは 時代に沿った新しい形を
――活動参加が難しい家庭があり、役をやらない人がいて不公平などの声もありました。人間関係に悩むケースも多いようです。このあたりはどのように感じますか。
「物理的に活動参加が難しい家庭に対して無理にお願いするよりも、どうすれば参加したくなるか、または参加しやすいPTAになるかを考えたほうが前向きですし、円滑な運営にもつながります。また、PTAに加入し、会費を支払うだけでも十分に貢献しているということを理解するのも大切ではないでしょうか」
――「PTAは必要ない」と感じて入会する人が減ると、どのようなデメリットが考えられますか。
「PTAは会員による会費で支えられているので、加入者が減ることで運営費が減り、今までできていたことができなくなる可能性があります。その結果、『保護者と教師が協力して学校運営に携わり、子どもにより良い教育環境を整えるために立ち上がった団体』として、子どもたちの学校生活をサポートすることができなくなるおそれもあります。また、先生たちの負担増にもつながるかもしれません。ただ、必要ないと思われてしまう理由についても考える必要があると思います。今回のアンケート結果や自校の保護者の意見も参考に、業務の取捨選択やツールの導入、運営の見直しなど、検討すると良いのではないでしょうか」
――これから金銭的にも人手も不足していくと、PTAの存続は難しくなってしまいますね。
「実際にPTAを解散した小学校もあります。しかし、すぐに別の保護者の団体が立ち上がった例も少なくありません。ということは結局、PTAという名前の組織が必要なのではなく、保護者による、子どもたちの学校生活のサポートが必要ということですよね。名前はなんでも構わないと思います。ただ、組織の名前を変えることで、イメージやモチベーションが一新するのもわかりますが、そこに時間と労力をかけるのであれば、今あるPTAを少しずつでも変えていくという方法もあるかと思います。そういった前向きな変化を続けることが、PTAの存続にもつながるのではないでしょうか」
すべては子どもたちのために――。学校と保護者が協力しながら円滑に活動を進めるために、時代の流れに沿った新しいPTAの形を作っていく変革期にあるのでしょう。
※この記事は、「Hint-Pot」とYahoo!ニュースによる共同連携企画です。
(Hint-Pot編集部)