仕事・人生
ファンが会場でアイドルの目を引くには 日韓で活躍する当事者が明かす最も有効な手段
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韓国の音楽専門チャンネルMnetで2017年に放送されたオーディション番組『PRODUCE 101 Season2』に唯一の日本人として出演し、現在は『KENTA・SANGGYUN』として日韓両国で活動している高田健太が初書籍『日本人が韓国に渡ってK-POPアイドルになった話。』(KADOKAWA刊、1650円税込み)を発売しました。K-POPアイドルになることを夢見て韓国に渡り、文化や言語、習慣の違いに戸惑いつつもチャレンジの日々を過ごした高田にアイドル活動の楽しさや公演のリアル、そして今後の夢を聞きました。今回は最終回。(取材・文=鄭孝俊)
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リハーサルの時に会場全体をぐるり1周
――いまや推し抜きでの生活は考えられないほど“推し活”が重要視されています。コンサート会場でアイドルからファンサービスを受けるコツを教えてください。
「ステージ経験者として言えることは、ステージから観客の皆さんの顔は全員見えています。熱心なファンの気持ちを取り残さない工夫があります。ぼくは会場の大きさ、空間を把握したいので、リハーサルの時に会場全体を1周ぐるりと回ります。そうすると、その場所、場所によってステージの見え方が分かります。まずこれを頭の中にたたきこみます。その上で、全員とアイコンタクトをとることは事実上不可能なので代わりに思いを届けます。少し不思議な言い方ですが、その人たちを見なくても、その人たちに思いを届ける、と思うだけで気持ちが届きます」
――もう少し説明してください。
「例えば観客が1000人いたとしても1000人に向けて歌うことはありません。ある曲を披露する場合、一定のエリアにいる観客の皆さんに向けて歌います。他の観客を置いてけぼりにするのではなく、目の前のエリアの観客を絶対に魅了する、1000人は無理でも目の前の観客3人だけは絶対に魅了してやるぞ、と心に言い聞かせます。すると、そのパワーが1000人規模になるんですよ。1000人に向けて歌うとエネルギーが分散してしまい、残念なパフォーマンスになってしまいます。結果的に『何しているんだ、こいつ』となるわけですよ。遠くの客席にいるファンの方々の熱気が自分に向かっている、自分に向かって何か訴えかけている、といった感覚は経験上あります。100人規模でも1000人規模でも1万人規模でも曲ごとにそうしています」
――アイドルからアイコンタクトをゲットするために有効な方法は何ですか?
「名前が入った応援うちわを見るとファンの方の目を見てしまいます。ハングルで書いてある場合もありますし、漢字で『高田』といううちわもありました。そういうのを作って会場で見せてくれるととてもうれしくなります」
――最後に今後の目標を聞かせてください。
「アイドルを目指す若い子たちの手助けをしたいです。『ぼくのような生き方もあるよ』『こういう大変なこともあるよ』『大変な時にはこういうふうに考えたらいいよ』などといったことを僕の経験から具体的に若い子たちに向けて発信したいです。けっこう遠い目標ではありますが、そういう子たちをサポートできる財団みたいなものを最終的には作ってみたいという気持ちが漠然としてあります。また、僕は日韓で活動しているので、日本の良さ、韓国の良さを相互に表現していくことで、アジアという地域を一緒に盛り上げていけるようになりたいです。せめてその0.001パーセントぐらいの力にはなりたいなと思っています」
※文中、高田の「高」はハシゴ高です
1995年、群馬県生まれ。2017年に韓国で放送されたサバイバルオーディション番組「PRODUCE 101 Season2」に唯一の日本人練習生として出演し話題を呼ぶ。番組終了後にファンの間でデビューを望む声が高まったメンバーが集結して6人組ボーイズグループ・JBJを結成しデビューを果たした。その後もグローバルな活躍を続け、現在は「KENTA・SANGGYUN」として活動中。同時にアート活動も精力的に行っており、2021年には個展「MADE in KENTA」を日韓で開催。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)