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「温水洗浄と暖房付き便座」や「タクシーの自動ドア」 訪日外国人たちが興味津々な日本テクノロジー
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文化の違いでトラブルに サービスしすぎにも要注意
――京都は最も人気の観光地ですから、オーバーツーリズムでいろいろと困ったことも起きそうですね。
「そうですね。たとえば祇園で、舞妓さんが置屋から出てくるのを、グループ全員でカメラをかまえて待ち続けるとか。注意しても、やめる気配はありません。神社仏閣に行って、『日本の習慣だし、世界遺産なので靴を脱いでください』と言っても、足が悪いとか言い訳して土足のまま上がろうとしたこともあります。どうしても脱がない方は外で待っていただいています」
――文化や習慣の違いもあるのでしょうかね。
「日本人は、相手のことを第一に考え、できる限りのサービスをしようと頑張ってしまいます。しかし、“おもてなし”のやりすぎは自分たちの首を絞めること、お客様の勘違いを助長することもあるので注意が必要かなと、私自身は考えています」
――おもてなしのやりすぎとは、たとえばどのようなことでしょうか?
「多くは日本の文化や習慣を理解し、尊重してくれるお客様ばかりですが、なかには、文化の違いで限界を超える要求をしてくる方もいます。無理だというと、のちに『前はやってくれた』と言われ、追い詰められることもあります。ただ、よく聞いてみると『苦情を言われずに、今を乗り切ればいい』との一心で、以前のコーディネーターが適切な説明を英語でできなかったことが原因であると気づくことも。もちろん、丁寧に説明しても最後まで理解を示さない方もいらっしゃいますが……」
――なるほど。どこまでが“おもてなし”とするのか、判断が難しいこともありますよね。一方で、日本の文化や習慣を楽しんでもらったと感じるエピソードはあるのでしょうか?
「記憶に残っているのは、シンガポールからの観光客の方々ですね。英語の注意や忠告のニュアンスをきちんと汲んでくださり、集団行動で楽しく過ごしていただきました。日本の食文化にも興味を持っていて、居酒屋をはじめ、しゃぶしゃぶ店だろうが、馬刺し、生の海鮮食材など、日本の食事をなんでも食べて楽しんでくれます」
――コーディネーターのお仕事は、どのようなところにやりがいを感じていますか?
「メディアの報道からは決して伝わってこない、海外の方々の本来の姿を知ることができるところです」
これからコーディネーターにとって、一年で最も忙しい桜のシーズンを迎えます。今年の3、4月には、イランやギリシャからのお客様を迎える予定なのだそうです。日本ならではの桜のシーズンを、多くの外国人観光客に堪能してほしいですね。
(日下 千帆)
日下 千帆(くさか・ちほ)
1968年、東京都生まれ。成蹊大学法学部政治学科を卒業後、テレビ朝日入社。編成局アナウンス部に配属され、報道、情報、スポーツ、バラエティとすべてのジャンルの番組を担当。1997年の退社後は、フリーアナウンサーとして、番組のキャスター、イベント司会、ナレーターのほか、企業研修講師として活躍中。