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春キャベツはほかのキャベツと何が違う? おいしいものを選ぶコツや食べ方を聞いた
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教えてくれた人:和漢 歩実
キャベツは、通年スーパーマーケットで見かける定番野菜のひとつ。春になると「春キャベツ」が店頭に出回りますが、夏から秋、冬に収穫されるキャベツとは何が違うのでしょうか。また、旬の栄養を逃さない食べ方とは? キャベツについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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春のキャベツはやわらかくみずみずしいのが特徴
キャベツはもともと冷涼な気候を好む冬の野菜でしたが、南北に長い日本では気候や季節、産地によって違う種類のキャベツが作られるようになりました。現在では通年で手に入る定番の野菜です。同じキャベツですが、季節ごとに見た目も味わいも異なります。
春に出回るキャベツは春キャベツと言われ、「新キャベツ」や「春玉」とも呼ばれます。夏秋、冬のキャベツと比べると葉がやわらかく、巻きはふんわりとしていて、全体的に丸いのが特徴です。水分が多く甘みがあります。そのため、大きさの割に軽いもののほうが、葉がやわらかく、みずみずしくておいしいといわれています。生のまま、千切りやちぎってサラダに、または軽く塩で揉んで浅漬けにして食べるとおいしいです。
一方で、夏から秋に出回る夏秋キャベツは、冷涼な高原で栽培されることから「高原キャベツ」とも呼ばれます。春キャベツと比べると、葉の巻きはしっかりとしていて鮮やかな緑色のものが多いのが特徴です。歯切れが良くて甘みが強く、生でも加熱してもおいしく食べられます。
また、冬キャベツは「寒玉」とも呼ばれます。葉の巻きはしっかりとしていて、葉肉が厚め。楕円形で、淡い緑色のものが多いのが特徴です。春キャベツとは反対に、ずっしりと重いものがおいしいといわれています。ロールキャベツなど煮込み料理にすると良いでしょう。
春キャベツの栄養をとるのなら生で食べよう
キャベツは色が淡いことから「栄養が少ない」といったイメージを持つ人もいるかもしれませんが、ビタミンやミネラルのほか、胃に良い代表的な成分が含まれています。日々の食卓にぜひ取り入れてほしい野菜のひとつです。
キャベツの代表的な栄養成分のキャベジンは、「ビタミンU」とも呼ばれている成分です。胃粘膜の修復に作用するといわれ、荒れた胃の粘膜を正常に整え胃潰瘍予防に期待されています。
そのほか、抗酸化作用があり、コラーゲンの生成に必要なビタミンCも。さらに、骨や歯の成分のほかに神経や筋肉を正常に保つ働きのあるカルシウム、体内の余分な水分や塩分を排出し、むくみや高血圧に良いといわれるカリウムなども含まれています。
とくにキャベジン、ビタミンC、カリウムは熱に弱い成分のため、これらの栄養メリットをとりたいのであれば、生で食べるほうが良いでしょう。
これからが旬の春キャベツは、生のままサラダで食べると、みずみずしさや自然の甘みを味わえます。千切りにする際は、葉の葉脈を断ち切るように切るとシャキシャキに、葉脈の向きに沿って切るとふんわりと仕上がりますよ。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾