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新ゴボウといつものゴボウは何が違う? 栄養を損なわないための工夫を栄養士に聞いた
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教えてくれた人:和漢 歩実
ゴボウは、寒い季節に旬を迎えるイメージが強いですが、実は春もおいしいものが店頭に出回ります。新ゴボウ、または春ゴボウと呼ばれるものです。いつものゴボウと何が違うのでしょうか。また、栄養を逃さない下処理のコツとは。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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同じ品種でも収穫時期が異なる 旬が短い新ゴボウ
店頭によく並ぶゴボウといえば、一般的には「滝野川ゴボウ」という品種です。春頃に種まきをし、秋から冬にかけて収穫するため、10~12月の晩秋から冬の時期が旬。長いものは1メートルくらいに成長します。
細く長く、土の中に根を張ることから「土台を固めて代々長く幸せに」との願いを込め、たたきや煮しめなどお正月のおせち料理にも縁起物として用いられます。貯蔵性が高いため、旬の時期以外にも安定してスーパーマーケットに並びます。
一方で、同じ品種ではありますが、春から初夏にかけて収穫されるゴボウもあります。これが新ゴボウです。ゴボウが育ち切る前に早採りするので、秋から冬にかけて収穫される通常のゴボウと比べて短いものが多くなります。色は白っぽく、やわらかめで、風味が高く土の臭いは強くありません。
おいしい新ゴボウを見分けるコツは、色です。全体的に白っぽい色味で、変色している部分がないものを選びましょう。出回ることは少ないですが、葉や茎がついたまま売られていたら、葉や茎にハリとみずみずしさがあるものを選びます。しおれているものは鮮度が落ちている可能性があるからです。
新ゴボウの栄養を無駄なく摂るために気をつけること
ゴボウの香りや旨味は、皮部分に含まれています。皮にはサポニンという強い抗酸化作用がある成分が多いので、皮をむいてしまうのはもったいないです。通常のゴボウならたわしなどでゴシゴシとこすり洗いをしたあとに、さらに包丁の背でこそげ取るかもしれませんが、皮が薄い新ゴボウには向きません。手やたわしで軽く泥を洗い流すと良いでしょう。
また、アク抜きにも注意が必要。変色防止とアク抜きのために、通常のゴボウは切ったら酢水にさらすのが一般的です。ただし、新ゴボウの場合はアクが少ないので、水にさらさず調理しても問題ありません。むしろアク抜きをすることは、ポリフェノールも流れ出て旨味も逃してしまうことになるので、栄養メリットで損をするといっても良いでしょう。
新ゴボウの栄養を無駄なく、おいしく摂るためには、下ごしらえで必要以上に皮をむきすぎないこと、アク抜きをしないことがポイントになります。通常のゴボウのように、新ゴボウもきんぴらにしたり、煮物にしたり、かき揚げや素揚げにしたりしても、食感がやわらかくゴボウ本来の味わいが楽しめるでしょう。また、アサリや鶏肉などと炊き込みごはんにしても、香りが良くおいしいです。
このほかゴボウには、造血のビタミンと呼ばれる葉酸、血糖値の改善などの生活習慣病予防や整腸効果が期待される食物繊維のイヌリンやリグニン、カリウムやカルシウムなどのミネラル類も多く含まれています。これから本格的な旬を迎える新ゴボウを食卓に取り入れて、体調を整えたいですね。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾