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ゴボウの皮 どこまでむくのが正解? 栄養士に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

日本の食卓に欠かせないゴボウ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
日本の食卓に欠かせないゴボウ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 独特の香りや食感があるゴボウは、日本の食卓に欠かせない根菜です。細く長いゴボウは土の中に根を張ることから「土台を固めて代々長く幸せに」との願いを込め、縁起物として、たたきや煮しめなどおせち料理に用いられます。食物繊維が豊富なことでも知られ、健康効果も期待できるので積極的に食べたい食材ですが、迷うのは皮の処理。皮をどこまでむいたら良いのでしょうか。ゴボウについての豆知識を、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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ゴボウを食べるのは日本だけ? 食物繊維がたっぷりの根菜

 かき揚げ、煮物、柳川鍋のほか、たたきゴボウやきんぴらなどのおせち料理にも使われるゴボウは、日本人になじみのある根菜です。世界的には、ゴボウをハーブや漢方などに用いることはありますが、根の部分を調理して食べるのは日本特有の食文化とされています。

 ゴボウにも種類があり、「滝野川ごぼう」や成田山新勝寺の精進料理で有名な「大浦ごぼう」、京野菜の「堀川ごぼう」、などがあります。主に店頭に並ぶ細長いゴボウは「滝野川ごぼう」で、一般的にゴボウというとそちらを指します。通年見かけますが、旬は冬。寒い季節に食感も香りも良くなり、おいしくなるのです。

 ゴボウは、野菜のなかで食物繊維の含有量がトップクラス。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランス良く含んでいます。水溶性食物繊維であるイヌリンは、血糖値の上昇をゆるやかにする、中性脂肪の吸収抑制などの働きが報告されています。また、不溶性食物繊維であるセルロースやリグニンは便通を促し、整腸作用などが期待されている成分です。食物繊維のほかには、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルも比較的豊富に含まれています。エネルギーも低く、ダイエットや生活習慣病、腸内環境などが気になる人は、ぜひ活用したい食材のひとつです。

ゴボウの皮をむくのはもったいない! 香りや旨味、機能性成分も

 ゴボウを調理する際、皮の処理に迷うこともあるでしょう。土がついていた表面の汚れを水で洗い流したものの、どこまでが皮なのか区別しにくく、ピーラーで皮をむき、白い部分だけにしている人もいるかもしれません。皮をどこまでむいたら良いのかの正解はありませんが、ゴボウの風味や栄養メリットをとりたい場合は、「表面をこそげ落とす」程度にしたほうが良いでしょう。

 ゴボウの香りや旨味は、皮部分に多く含まれています。加えて、皮には強い抗酸化作用があることで知られるサポニンが含まれますが、皮をむいてしまうと摂取できません。

 表面をこそぎ落とす方法としては、主に次の3つがあります。まず、たわしを使ってこそぎ落とす方法です。力を入れず、ゴボウの表面を軽くこするようにして落としてください。または、包丁のみね(背)部分を使ってもできます。ゴボウを回しながら、包丁の背を表面に当ててこそぎ落としていきましょう。

 アルミホイルを使う方法も手軽です。アルミホイルをくしゃくしゃに丸め、ゴボウの表面をこすります。皮を過度にむかないこと、水にさらさないことで、風味も栄養も残して、効率良く食べましょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾