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夏ミカンの旬はいつ? 冬のミカンとの違いも 栄養士が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

春に出回る夏ミカン(写真はイメージ)【写真:写真AC】
春に出回る夏ミカン(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 日に日に暖かくなり、春めいてきました。寒い季節に旬を迎える一般的なミカンとは異なり、これから食べ頃を迎えるのは果実が大きめの夏ミカン。「夏ダイダイ」とも呼ばれますが、なぜ春に出回るミカンなのに「夏」がつくのでしょうか。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに、夏ミカンについて伺いました。

 ◇ ◇ ◇

夏ミカンとは 通常のミカンと同様、果実は秋になる

 私たちが通常「ミカン」と呼んで食べているのは「温州ミカン」です。現在はハウス栽培のものもあるので通年出回っていますが、主に秋から冬に出荷されます。皮がやわらかく手で簡単にむけ、内袋も食べることができ、幅広い年代から人気です。

 一方で夏ミカンとは、春先に店頭で見かけるミカンで、通常のミカンと比べると果実は大ぶり。ごつごつとした厚くて固い皮が特徴です。通常のミカンと同様に、もともとは秋に実がなり収穫された果実でしたが、あまりにも酸味が強く、そのままでは食べられませんでした。酢の代用品として使っていた地域もあったそうです。

 しかしその後、すぐに収穫せずに翌年の夏まで木になったままにしておくと、酸味が和らぐことがわかりました。そこで、じっくり待って夏に食べる果実ということから、夏ミカンと呼ばれるようになったといわれています。

 今では品種改良によって収穫期が早まり、夏を待たなくても、春に出荷され食べられるようになりました。夏ミカンは「春の味覚」になりましたが、夏の文字はそのまま残ったということです。

夏ミカンの特徴、栄養とは

 夏ミカンは、香りが良く、実は大きいので食べごたえもあります。皮や内袋が固いので、包丁などで切れ目を入れてからむきましょう。果実はみずみずしく、プチプチとした食感を楽しめます。酸味が強く、さっぱりとした甘酸っぱい風味の中に、ほのかな苦味を感じる味わいが特徴です。

 夏ミカンの栄養の特徴としては、温州ミカンと同じように美肌効果が期待できるビタミンCや、造血のビタミンとも呼ばれる葉酸、疲労回復効果のクエン酸などが豊富です。温州ミカンと比べるとβカロテンは少ないですが、カリウムについては温州ミカンの1.2倍の量を含みます。余分な塩分や水分の排泄を促してくれるカリウムは、血圧が気になる人やむくみやすい人が摂取したい栄養素です。

 そのまま食べてもおいしい夏ミカンですが、サラダやヨーグルトにトッピングしてもおいしく食べられます。酸味が気になる場合は、ハチミツをかけても良いでしょう。甘さの中のほろ苦さが絶品です。

 また、酸味をいかして、夏ミカンの絞り汁にしょうゆ、みりんを混ぜた「夏ミカンポン酢」、夏ミカンの絞り汁に油、塩コショウ、好みで砂糖やハチミツを入れた「夏ミカンドレッシング」もおすすめです。ゼリーやマーマレードにしてもおいしく食べられます。皮の部分を砂糖で煮た、夏ミカンのピールも美味。甘さの中のほろ苦さが、春のお茶請けにぴったりです。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾