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「海洋散骨は埋葬の選択肢のひとつ」 事業者が考える一番大事なこととは 墓じまいにも
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時代の流れとともに、故人との別れにも多様化の波が押し寄せています。お墓に遺骨を納めることが主流だった昔とは違い、寺院などへの永代供養や納骨堂、そして樹木葬など、その形はさまざまです。そんななか、近年注目を集めているのが海洋散骨です。樹木葬と同じく、自然葬のひとつとして知られていますが、なぜ今注目が集まっているのか、海洋散骨を行っている株式会社ハウスボートクラブ代表取締役社長の赤羽真聡さんに話を伺いました。
◇ ◇ ◇
海洋散骨とは何?
――海洋散骨とはどのようなものなのでしょうか。
「一般社団法人海洋散骨協会のガイドラインでは、『祭祀の目的をもって、故人の火葬したあとの焼骨を海洋上に散布すること』とされ、簡単に言うと、亡くなった故人の遺骨を海にまく埋葬方法のことです」
――貴社の海洋散骨は、どのように行われているのでしょうか。
「我々が行っているのは、亡くなられた故人を火葬したあとの遺骨を当社事務所に持ってきていただいて、粉骨ルームと呼ばれる部屋でご家族の立ち会いのもと、遺骨をパウダー状にします。その粉骨を水に溶ける紙製の袋に入れて、ご遺族にお渡しします。その後、船で散骨する海に出航し、船の上から海に散骨。思い思いの形で、故人とのお別れを提供させていただいています」
――散骨するのは、遺骨のすべてなのでしょうか。
「それはご依頼される方によって異なります。すべての遺骨を散骨される方もいらっしゃいますし、一部を手元に残しておきたいという方もいらっしゃいます。依頼される方のご要望に沿って、適宜対応させていただいています」
――海に遺骨をまく海洋散骨は、法律的にどのようになっているのですか。
「我々が海洋散骨を始めた頃は、そういった法律やガイドラインがありませんでした。そこで、散骨事業者が集まって『一般社団法人日本海洋散骨協会』を作り、そのなかで、たとえば遺骨は細かく粉砕しなければいけない、散骨は陸から一定距離以上離れた場所でなければならないなどのガイドラインを作成しました。それから10年ほど経ってから、協会が作成したガイドラインを踏襲する形で厚生労働省からのガイドラインが作成され、より広く海洋散骨の安全性が知られるようになりました」