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春にも多い食中毒 お弁当作りのポイントを栄養士が解説 意外にやりがちな“NG”とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

うっかりやっていませんか? お弁当作りの“NG”

 お弁当作りの3つのポイントを踏まえ、意外に見落としがちな“NG”を紹介します。ついうっかりやっていませんか? 今一度確認しましょう。

○ごはんの上におかずをのせる
 おかずの汁気でごはんが傷みやすくなります。焼き肉丼弁当や親子丼弁当、そぼろ弁当など、つゆが染み込んだごはんはおいしいのですが、食中毒を予防する観点でいえば“NG”。ごはんの上にはのせず、汁気を十分に切っておかずカップなどに仕切って入れます。ごはんの上には、殺菌効果が期待できる刻んだ梅干しや、汁気を吸ってくれるカツオ節を散らすのも良いでしょう。酢を加えて炊いたごはんをお弁当に使うのもおすすめです。

○ちくわ、かまぼこ、ハムなどの加工品をそのまま入れる
 冷蔵のハム、ちくわやかまぼこなど、生のままで食べられる加工品でも、すぐに食べないお弁当のおかずとしてそのまま入れるのは避けましょう。必ず火を通して、冷ましてからお弁当箱に詰めます。

○生野菜をおかずの仕切りや彩りにする
 おかずの仕切りとしてレタスなどの葉物野菜を用いるのは、水分が出て傷む原因になるので注意が必要です。また、お弁当の彩りでミニトマトを使うことがあるかもしれませんが、ヘタ付近には菌が多くついている場合も。ヘタを取ってからしっかりと水洗いし、水分を十分取ってからお弁当箱に入れます。

○作り置きのおかずを冷蔵庫からそのまま入れる
 前日の残り物や、冷蔵庫に保存していた作り置きのおかずをそのまま詰めるのは避けてください。お弁当で持ち運びしている間に菌が増えてしまいます。必ず当日に再加熱し、よく冷ましてから詰めましょう。

○素手でおかずを詰める
 黄色ブドウ球菌などの食中毒菌は、人の手から感染しやすいといわれています。おかずは菜箸を使って詰めると良いでしょう。おにぎりやサンドイッチを作る際もラップなどを活用し、直接手に触れないようにします。もし手や指に傷があるときは、調理用の手袋をするのがおすすめ。とくに化膿した傷口には黄色ブドウ球菌が多く存在しているので、食材に菌をつけてしまうリスクがあります。

傷みにくいお弁当のおかず作りのヒント

おかずカップを活用するのもコツのひとつ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
おかずカップを活用するのもコツのひとつ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 冒頭の3つのポイントでも述べましたが、お弁当のおかずを調理する際は、中心部までよく加熱することが大切です。卵焼きやゆで卵などの卵料理は、半熟ではなくしっかりと火を通しましょう。また、明太子やタラコを使う場合も、生ではなくしっかり加熱することをおすすめします。

 肉や魚料理は、いつもより小さく切ってから調理すると火が通りやすいです。豚肉のショウガ焼きなど料理のタレの水分が気になる場合は、片栗粉をまぶすことで味が絡みやすくなり、水分が出にくくなります。油でカラッと揚げたから揚げは、水分がしっかり飛んでいるのでお弁当のおかずにおすすめです。

 甘くする、しょっぱくするなど、味つけをいつもより濃くすると食材が傷みにくくなります。糖分や塩分が気になりますが、食中毒対策としては良いでしょう。

 食材としては、青ジソ、ショウガ、梅干し、ワサビ、酢など殺菌効果のあるものを上手に使いましょう。野菜を入れるときは葉野菜よりも、レンコンやゴボウなど水分が出にくい根菜類を。煮物より、水分をしっかり飛ばしたきんぴらがおすすめです。

 お弁当の中でおかず同士が触れると傷みやすくなるので、市販のおかずカップなどを使って仕切ると良いでしょう。お弁当は涼しいところで保管し、早めに食べることも大切です。春のお弁当を安心して楽しめるように、きちんと食中毒対策していきましょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾