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空いている電車で座るなら? 9割近くが「端の席」、そうでなければ「座らない」という人も

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

端の席が空いていないときは「座らない」という人も

端の席が空いていなかったら座らないという人も【画像:Hint-Pot編集部】
端の席が空いていなかったら座らないという人も【画像:Hint-Pot編集部】

 また、アンケートでは「座席の位置に関する質問で『端の席』を選んだ人で、端の席に座れない場合、別の位置に座りますか?」という質問をしたところ、「はい」が77.9%、「いいえ」が10.5%という結果になりました(ほかに「『端の席』を選んでいない」が11.6%)。

「はい」と回答した人からは「とりあえず空いていたら座りたい」「空いている席に座ったほうが混雑防止に役立つ」「座れる場所に座るけれど、端の席が空いたら移動する」という声が。一方で「いいえ」と答えた人からは、理由として「できるだけ他人と接したくない」「両側に人がいるのが不快なので座らない」など、端の席以外には座りたくないとの意見がありました。

 これについて、「端の席は、車両内のシートという限られた空間の中で、他の人と接しなくて済む最も適当な席」という認識があるからと、小西さんは考えます。

「たとえば動物の行動から考えても、外敵から身を守る点では、壁を背にすることは有利です。電車でも、端の席には片側にポール(手すり)があるので壁と同じように安心できるのでしょう。中央の席は、先に座っている人(ロングシートの両端に座っている人)との関わりを避けることはできますが、このあと自分の左右に座られる可能性がありますから、端の席ほどには落ち着くことはできないと考えられます」

車内は空いているのに…わざわざ「端の席」に座る日本人が多い理由

 電車で端の席を選ぶことは日本人特有のものではないものの、電車内が空いているのにあえて「端の席」に座る多くの日本人の選択は、外国人から見ると「ほかの席も空いているのになぜ端を選ぶの?」と疑問を抱くこともあるようです。

 この点について、小西さんは、プライバシーを守りたい意識と、「端」という位置に抱く印象が、日本人と海外の人とで違いがあるのかもしれないと考えます。

「日本人のパーソナルスペースは比較的大きく、会話のときも比較的距離を取る傾向にあります。このことから公共の場面で、ほかの人に邪魔されたくない、プライバシーを守りたいという意識が外国人よりも強く、端の席はプライバシーを守るうえで最適の席と考える日本人は多いと言えるのかもしれません。

 また、端に対するイメージについても、日本では『隅っこ』に由来するキャラクターの『すみっコぐらし』や、広い通りではなく細い迷路のような道を探索する『路地裏散策』が人気になるなど、『端』について比較的好ましい印象があるように思います。『隅っこ』や『端』に対してネガティブなイメージがある外国人にとっては、真ん中も空いているのにわざわざ端の席に座る日本人を見ると、不思議な感じがするのかもしれませんね」

 電車の座席に対するイメージはさまざま。どこの座席が空いていても、自分だけでなく、ほかの乗客のことも考えながら快適な空間として利用したいですね。

※この記事は、「Hint-Pot」とYahoo!ニュースによる共同連携企画です。

◇小西啓史(こにし・ひろし)
立教大学大学院博士課程修了。武蔵野大学人間科学部教授を経て、現在は武蔵野大学名誉教授。専門は環境心理学、社会心理学、産業組織心理学。とくに、人間の空間行動(パーソナルスペース、対人距離、座席行動。クラウディン(混雑感)など)に関する研究。所属学会は、日本心理学会、日本社会心理学会、産業組織心理学会、人間-環境学会、日本環境心理学会など。

(Hint-Pot編集部)