どうぶつ
104匹もの猫を個人で保護 エサ代などは月20万円以上 それでも里親探しのハードル上げるワケ
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リモート業務で可能になった仕事と保護活動の両立
はっちさんが、今では104匹に増えた猫のお世話をできるのは、コロナになってリモートで仕事ができるようになった影響が大きいといいます。同じ会社に勤めていた友人と、ルームシェアを解消したのが19年秋。実家に戻り、20年春には世界中がコロナ一色に……。以来、リモートで仕事を続けています。
「会社に通っていた頃も必死に猫たちの世話をしていたけど、コロナでリモートになって、猫たちが増えてからは、在宅で仕事をしながら、24時間体制で面倒をみることができました。ごはんをあげるのはもちろん、水やトイレ、掃除や吐いたものの片づけ、治療や介護までつきっきりでみています」
はっちさんが不在のときもあります。例えば、地震に見舞われた能登の保護猫活動などです。そんなときは、はっちさんの母親が面倒をみてくれるそうです。
里親もつねに探しています。
「今は譲渡会が増えて、それが主流になっています。でも、私のように個人で対応する場合は、相手が一度も会ったことがない人になるので、ハードルを上げています。写真を見て『この猫を』と言われても、飼育環境や脱走、里親詐欺などの心配があるので、家の環境や家族構成を確認させてもらっています。知り合いのボランティアさんが家に行ってみたら、すごいゴミ屋敷だったなんてこともありました。そういう方はお断りするしかないですね。
里親さんと連絡を取り合うだけでも2、3か月はかけます。トライアルに入っても、その期間は基本3か月。そうなると、最初の連絡から正式な引き渡しまで半年はかかることになります。今まで66匹の猫が卒業して行きました」
そんな話を聞いているなか、ゴロンと横になって甘えてきたのは巨漢猫の「シュウ」ちゃん。我が家の長男「ガトー」と同じキジシロ猫。最初に挨拶してくれた、こなつちゃんといい、なんともかわいい猫ちゃんたちでした。
(峯田 淳)
峯田 淳(みねた・あつし)
コラムニスト。1959年、山形県生まれ。埼玉大学教養学部卒。フリーランスを経て、1989年、夕刊紙「日刊ゲンダイ」入社。芸能と公営競技の担当を兼任。芸能文化編集部長を経て編集委員。2019年に退社しフリーに。著書に「日刊ゲンダイ」での連載をまとめた「おふくろメシ」(編著、TWJ刊、2017年)、全国の競輪場を回った「令和元年 競輪全43場 旅打ちグルメ放浪記」(徳間書店刊、2019年)などに加え、ウェブメディアで「ウチの猫がガンになりました」ほか愛猫に関するコラム記事を執筆、「日刊ゲンダイ」で「前田吟『男はつらいよ』を語る」を連載中。