どうぶつ
「受け入れてくれるのか」 生後3か月の保護猫と先住猫たちとの対面 「あいさつ代わりにシャーを…」
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猫を家族の一員にお迎えする方法として、保護猫の譲渡を選択する人が増えています。ひとつでも多くの命が最期まで幸せに暮らせるよう、理解と協力を求める呼びかけを目にしますが、譲渡会を通じて出会い、家族になるまでには、どんなことがあるのでしょうか。コラムニスト峯田淳さんが、保護猫活動について連載する企画。今回は、自宅へ連れ帰った保護猫が、先住猫と初めて遭遇する様子などを綴っています。
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「黒猫は後ずさって」 先住猫たちと初めての対面
一番上、7歳の「ガトー」と4歳の「クールボーイ」。この先住猫たちが、生まれてまだ3か月の黒猫を受け入れてくれるのか。
クールボーイが家にやってきたときも、その頃は元気だった「ジュテ」、ガトーが快く受け入れるか、興味津々でした。熱海の保護猫団体代表のNさんから、引き取るときに一緒に大きなケージを借りてきて、クー(編集部注:クールボーイの愛称、以下同)をそこに入れて様子を見ることにしました。
最初はジュテもガトーも周りを嗅ぎ回り、宇宙人でもやってきたかのような目で見ていました。でも、扉を開けたらクーがおそるおそる出てきて、ガトーが軽くちょっかいを出すような仕草をし、それを後ろでジュテが見ているうちにお互いなごんだというか、ほんのちょっとの時間でなし崩しに仲良くなりました。
黒猫はどうか。先住猫2匹が2階から降りてきました。ガトーは鷹揚にかまえている感じですが、クーは居丈高な感じが伝わってきます。近づき、あいさつ代わりにシャーを見舞いました。黒猫は後ずさって、逃げ腰です。
「こら、こら。仲良くするの」
でも、黒猫がおとなしかったのは最初だけです。クーに近づいてパンチするような仕種で迫ります。クーは物怖じしない態度にひるんで、逆に走って逃げていきました。それでも、微妙な距離感、空気感はありますが、夜には3匹がリビングにそろって、くつろいでいるようでした。クーのときのように大きなケージを用意する必要はまったくありませんでした。
黒猫の名前ですが、「そうせき」になりました。有名な夏目漱石の「吾輩は猫である」の猫は黒猫だそうです。「黒猫ね、じゃ夏目漱石のそうせきは?」とゆっちゃん。
「漢字の漱石だとおそれ多いから、ひらがなで『そうせき』。ニックネームは『坊っちゃん』で決まりだな」
というわけで対外的にはそうせき、家の中では坊っちゃんです。