どうぶつ
「野良で生きていく生命力はない」 2度目の脱走をした元保護猫を確保 自宅に施した逃走防止策とは
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猫を家族の一員としてお迎えする方法として、保護猫の譲渡を選択する人が増えています。さまざまな誓約を交わし家族の“ひとり”となった子が、安全に幸せに暮らせるようにするには、どんなことに気をつける必要があるのでしょうか。コラムニスト・峯田淳さんが、保護猫活動について連載する企画。今回は、2度目の脱走をした元保護猫の愛猫を捕獲した際のことや、その後の対策について綴っています。
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「遠くで聞き覚えのあるガシャガシャ、バシャという音」
逃走したクールボーイを捕まえるため、空き家の庭に捕獲器を仕掛けてから7日目の朝を迎えました。2020年4月のことです。この頃、世の中はコロナ一色になり、不穏な空気が漂う中、クー(編集部注:クールボーイの愛称。以下、同)がなかなか捕獲器にかからず、あきらめムードになっていました。
「クーちゃんは(野良のボス猫の)トラちゃんと一緒がいいんだから、そうしてあげようかな」とゆっちゃんが言います。保護猫を自由にして野良にする……もちろん本心ではないし、とんでもないことですが、懐かず、逃げたがるばかりのクーにとってはむしろ、その方が幸せなのではないか……。「でも、クーには野良で生きていく生命力はないと思うよ」と、話していたときのことです。
春の陽ざしを部屋に取り込んで、空気を入れ換えようとして寝室のサッシを開けました。伸びをし、空気を吸い込もうとした瞬間です。遠くで聞き覚えのあるガシャガシャ、バシャという音とともに、人とも動物ともつかない悲痛な? 叫び声が響き渡りました。
「何?」と思った瞬間に体が反応し、階段を走って降りていました。ゆっちゃんも感づいて「エッー?」と声を上げます。
「クーだ!」と叫んで家を飛び出し、4軒隣の空き家の庭の扉を開けます。急いで捕獲器にかけてあったタオルケットを剥ぐとそこにはバッタン、バッタンと騒ぎ、逃げたがっているクーの姿がありました。
シャーとこちらを威嚇してきます。そしてガタガタと動き回る。本当にこの猫(こ)は! 情けないような、安堵するような複雑な気持ち。それでも「よかった、よかった」と胸をなでおろしました。もうどこにも逃がさないゾ! 本当に親バカの心境です。