Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

お金

高額な相続税の支払いに悩む女性 叔父の住む家の共有名義を解消する方法はある?

公開日:  /  更新日:

著者:板倉 京

どちらかの事情によって頭を悩まされてしまうケースも

 不動産の共有がもたらす不幸は、ほかにも多々あります。土地を担保にお金を借りようと思った原田徹さん(仮名・42歳)のケースです。

「自宅を建て替えようと思って銀行へ相談に行ったら、土地を担保に入れてくれればお金を貸すと言われました。実は、自宅の土地は親から受け継いだもの。今は、土地の名義が自分と妹で半分ずつになっているのですが、妹が土地を担保に入れることに同意してくれません。これでは銀行からお金が借りられない……どうすればいいでしょうか」

 逆のケースもあります。親から共同相続した自宅を「売ってくれ」と、弟に泣きつかれている町田忠さん(仮名・50歳)。お互いに、にっちもさっちもいかない状況に陥っています。

「弟が突然、共有名義になっている家を『売りたい』と言い出したんです。現在、この家には私と、私の家族が住んでいます。弟にはこれまで家賃を払っていたのですが、『勤めていた会社が倒産して、収入がなくなって困っている。この家を売って当面の生活費にしたい』と泣きつかれました。この家がなくなると住むところがなくなってしまうのですが、どうすればいいでしょうか」

 原田さんや町田さんの場合は、事前にきょうだい間で相談をしていますが、もっとひどいケースになると共有持分を勝手に業者へ売ってしまって、住んでいる人が追い出されてしまうなんてことも……。

「すぐに売却するから共有で持つことにする」ような場合は、早晩現金化されるわけですからあまり問題にならないでしょうが、それはあくまで例外的な話です。売却の予定もない、誰か特定の人のみが利用しているような不動産を共有名義で持っている場合は、今後のリスクを検討したうえでどうしていくかを考えてみてください。

 ちなみに、夫婦の共有名義で不動産を購入するケースがあります。この場合は、住宅ローンの控除や売ったときの税金の特例がダブルで受けられるといったメリットが。「離婚」などということにならない限り、ゆくゆくは子どもに相続されることになるでしょうから、あまり問題はないといえます。

 ただ、子どもがいない場合は要注意です。共有持分が相続財産になるため、夫婦のどちらかが亡くなったら、夫(妻)の両親やきょうだいとの共有名義になってしまうという可能性も出てきます。子どものいない夫婦は、妻(夫)を守るための遺言書を用意しておくとトラブル回避につながるでしょう。

(板倉 京)