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遺産相続“あるある” 関係ない人が出しゃばって揉める…税理士がよく目の当たりにするケースとは
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誰でも起こり得る遺産相続トラブル。「うちはきょうだい仲が良いから大丈夫!」なんて思っていませんか。実は、きょうだいの仲が良くても、周囲の口出しで仲違いすることがあります。豊富な実務経験がある税理士で、マネージャーナリストの板倉京さんが解説。よく聞く「法定相続分」とはなんなのでしょうか。
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「法定相続分通りに分けるものだろ」 姉の夫から怒りの電話
遺産相続“あるある”のひとつに、直接関係ない人が出しゃばってきて、遺産分割の話し合いをぶっ壊すということがあります。なかでも、妻の実家の相続に夫がくちばしを入れてくるパターンが多いように思います。今回紹介するのも、そのケースです。
「母が亡くなり、姉とふたりで遺産の分け方を話し合って決めました。その後、姉の夫から電話がかかってきて『そんな分割は納得できない』と怒鳴られてしまったんです……」
相談者の奥田恵子さん(仮名・52歳)には、遠方に嫁いだ仲の良い姉がいました。姉の結婚相手は資産家で、その家への遠慮もあり、親の面倒は実家の近くに住んでいた妹の恵子さん任せだったといいます。
その後、父親に続き母親が亡くなり、遺産を分けることに。恵子さんに感謝していた姉は「私は親の面倒を一切見ることができなかったから、実家の財産は妹が全部相続すれば良い。自分は生活に困っていないんだから」と考えていました。
一方、恵子さんは「自分が全部もらうなんてできない。やはりお姉さんにももらってほしい」と考えていたそうです。ふたりで話し合った結果、自宅は恵子さんが相続し、そのほかの現預金は恵子さんが3分の2、お姉さんが3分の1の割合でもらうことで話が決まったといいます。
このように、仲の良い姉妹がお互いを思いやって、円満な相続を迎えようとしたところに割り込んできたのが、姉の夫です。
ある日突然、恵子さんの元に姉の夫から電話がかかってきました。そして、「相続というのは、普通は法定相続分通りに分けるものだろ。姉妹なんだから、財産は2分の1ずつ分けるのが筋だ!」と怒鳴りつけられたそうです。
姉の夫いわく「妻は恵子さんに遠慮して言いたいことが言えないから、自分が代わりに交渉するんだ」とのこと。姉も、夫の剣幕に圧倒されて抑えることができず、連絡も途絶えがちになってしまったそうです。結局、恵子さんが折れる形で遺産を折半することになり、姉との関係は気まずいままになってしまいました。