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どうぶつ

1匹のメス猫が3年で2000匹に… 殺処分を減らすため「TNR活動」を啓発する元女性アスリート

公開日:  /  更新日:

著者:峯田 淳

1匹のメス猫が3年で何匹に増えるのか?

クイズ形式で子どもたちにもわかりやすく解説する高木さん【写真提供:高木真備】
クイズ形式で子どもたちにもわかりやすく解説する高木さん【写真提供:高木真備】

 猫は1歳という若さで子どもを出産でき、さらに1度にたくさんの子猫が産まれます。それが繰り返されたら、1匹のメス猫から3年で何匹の猫になるか――。

「計算上は3年で2000匹という政府が出している統計があるので、<1>20匹<2>200匹<3>2000匹<4>2万匹の4択で答えてもらいます。2000匹も生まれるのがわかったら、殺されるのをどうやって防ぐかを考えてもらって、TNR活動を教えるようにしています」

 また、庭にやってきた野良猫にごはんをあげている人には、不妊・去勢手術をしているかどうかを確認してもらい、していない場合は子猫を増やすことにつながるので、TNRをやってあげるように、お願いしているそうです。

「猫を捕獲して動物病院に連れて行き、行政で手続きすれば助成金が出る自治体もありま
す。TNRで手術が終わった猫はその目印として耳がカットされるのですが、なぜ外で見かけた猫の耳がカットされているのか知らない方まだたくさんいらっしゃるんですよね。人が苦手な野良猫はつかまえるのが大変です。興味がある方にはどうやって捕獲するか、そ
のやり方もお伝えしています」

競輪専門チャンネルに出演する高木さん【写真:峯田淳】
競輪専門チャンネルに出演する高木さん【写真:峯田淳】

 真備さんは元選手といってもただの選手ではありません。2021年には年間のチャンピオンを決める「ガールズグランプリ」を走って優勝した「女王」です。しかも、アイドルのようなかわいらしさ、「まきび」という一度聞いたら忘れられない名前でもファンを熱くさせたチャンピオンです。

 ガールズケイリンの将来を背負って立つ存在。誰もがそう思い、期待は大きかったのですが、チャンピオンになった年が明けると間もなく、電撃引退しました。理由を聞いて、2度ビックリです。ずっと考えていた保護猫、保護犬の活動をやりたい――。

 これからというときですから、最初はほかにも引退する理由があるのではないかという声もありました。しかし、各地の競輪場などで「わんにゃんフェスティバル」といったイベントを企画し、犬猫を現地に連れて行き、地道に保護活動している高木さんの姿を何度も見かける機会がありました。引退から2年余り。その間にすでに20か所近い競輪場などの公営のギャンブル場で犬猫の保護活動を行ったそうです。

 ギャンブル場はれっきとした公共施設。元「女王」とはいえ、20か所も場所を借り、保護活動をやるのは簡単なことではありません。次回はその内容について。

(峯田 淳)

峯田 淳(みねた・あつし)

コラムニスト。1959年、山形県生まれ。埼玉大学教養学部卒。フリーランスを経て、1989年、夕刊紙「日刊ゲンダイ」入社。芸能と公営競技の担当を兼任。芸能文化編集部長を経て編集委員。2019年に退社しフリーに。著書に「日刊ゲンダイ」での連載をまとめた「おふくろメシ」(編著、TWJ刊、2017年)、全国の競輪場を回った「令和元年 競輪全43場 旅打ちグルメ放浪記」(徳間書店刊、2019年)などに加え、ウェブメディアで「ウチの猫がガンになりました」ほか愛猫に関するコラム記事を執筆、「日刊ゲンダイ」で「前田吟『男はつらいよ』を語る」を連載中。