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アメリカ人家族が「買うしかないね!」と大興奮 日本の縁起を担ぐ文化で右往左往したワケ
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日本らしさを感じることができる神社仏閣は、外国人観光客にとってはずせない場所のひとつです。また、そこで、必ずといっていいほど体験するのがおみくじ。外国人観光客を日本各地へガイドする、通訳案内士の豊嶋操さんよる連載「ニッポン道中膝栗毛」。今回は、アメリカからやってきた家族4人が日本の“くじ”に翻弄されたお話です。
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アメリカ人家族のくじ体験 初みくじは鎌倉鶴岡八幡宮で
晴天に恵まれたツアー初日、鎌倉へハイキングに行きました。鎌倉といえば鶴岡八幡宮。これから始まる旅の安全を祈り、お参りにやってきました。
見どころ満載の各所で真剣に学び、祈ったあとはおみくじタイム。順番におみくじを引き、1人目お母さん……「吉」、まず一安心です。
次の2人目のお兄ちゃんは「中吉」、3人目の弟くんは「末吉」、そして最後に引いたお父さんは……「大凶」でした。
全員に結果諸々を伝えると、むろん大凶のお父さんの顔は雲ひとつない空とは対照的に、風雲急を告げる様相です。しかし、鶴岡八幡宮には救済手段がありました。ここには「凶運みくじ納め箱」と「掴み矢」というものがあり、凶や大凶を引いた場合はおみくじをこの箱に入れ、その上にある掴み矢を握るとなんと大吉レベルの強運に転化できるという優れもの。
この“9回裏満塁サヨナラホームラン”のようなシステムがあると説明したとたん、お父さんは急いでおみくじを納め箱に返し、吉組の3人から「まだなの?」とつつかれるほど長めに矢を握っていました。
しっかり大凶を払ったおかげか、この日はずっと晴天。江の島の奥に富士山もはっきりと見え、大満足で日帰り旅を終えることができました。
銀座で見かけた行列に注目
翌日は買い物デーということで銀座へ。ショッピングを楽しみながら街をぶらぶらしていると、お母さんがとても長い行列に気づきました。
「あれって何に並んでいるのですか?」
銀座の一角でときどき見かける長蛇の列といえば、そう、宝くじです。「日本人は飲食店などで行列するのは知っていたけれど、くじにも並ぶとは知らなかった」とのこと。お父さんは、鼻息荒く「昨日確実に強運を得たからこれは買うしかないね!」と買う気満々です。いったい、何枚買うのでしょうか?
ところで、宝くじの起源は400年ほどさかのぼり、現在の大阪府箕面市にある瀧安寺というお寺で当選者にお守りを授けていたことに始まります。その後、金銭と結びついた富くじのようになると、あっという間に世間に広まってしまったので、寺社が修復費用捻出目的の場合のみ発売許可されるように。江戸時代には、湯島天神などの3寺社のくじは「江戸三富」として有名になりますが、1842年の天保の改革により禁止されて以降、当面禁止となりました。
時代は下って1945年(昭和20年)、今度は軍事費捻出のため、政府から宝くじの原型ともいえる「勝札」が発売されます。さらに戦後、各地では復興資金が必要になり、自治体による宝くじが始まりました。以後着実に人気を得て、1960年代後半には買い求める人の列も見られるようになったのです。