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マグロ漁船に同乗も コーディネーターが明かす海外メディアが報じる日本の姿とは

公開日:  /  更新日:

著者:日下 千帆

寿司の代表的なネタ、マグロにも注目 初競りに興味

――フルーツ以外ではどうでしょうか?

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「フルーツ以外では、世界でも人気を集める寿司の代表的なネタ、マグロにも興味を持ったようです。2019年、築地の初競りでマグロが3億円で競り落とされた際は、クルーと一緒に大間のマグロ漁船に乗りましたよ」

――マグロ漁船の乗り心地はいかがでしたか?

「6時間ほど乗船したのですが、5メートルの波を初めて経験。あまりの揺れで気持ち悪くて、動けませんでした。海水はマイナス10度。『ここから落ちたら死ぬよ』と言われました。過去には何人も落ちていると聞き、命がけで漁に出る漁師のみなさんを尊敬しました」

――初競りに賭けるマグロ漁はどんな様子でしたか?

「最新のレーザー装備に1億円以上かけた大型船から、家族で漁に出る小さな船まで20隻ほどがいっせいに海に出て、漁に励んでいました。マグロ漁は大型船だから有利ということでもないようです。

 この日は年配のご夫婦の操業する漁船が、のちに3億3000万円で競り落とされる300キロの大きなマグロを釣り上げたのです。奥様が『お父ちゃ~ん! 3億、入ったよー!』とうれしそうに叫んだ声が今でも忘れられません」

世界的にも話題になったロボット犬、AIBOのお葬式

――食べ物以外に印象的だった取材はありましたか?

「こちらも同じくシンガポールのメディアの取材でしたが、2018年、『AIと人間が共存する社会における倫理観とは?』というテーマの番組で、千葉県いすみ市にある光福寺へ取材に行きました。

 このお寺では、ソニーのロボット犬『AIBO』のお葬式が行われています。AIBOは、1999年から2006年までの間に約15万台が販売。この日も解体されるAIBOと飼い主を慰めるためのお葬式が行われていました。ロボットに死はあるのか? と大きな話題になり、私はこの番組の企画やコーディネートに携わったおかげで、2018年のワールドテレビアワードをいただきました」

 地道にコーディネートの仕事を続けたおかげで、今ではさまざまな国のメディアに企画提案ができるという瀬川さん。今後も日本の魅力を世界に発信し続けてくれることでしょう。

(日下 千帆)

日下 千帆(くさか・ちほ)

1968年、東京都生まれ。成蹊大学法学部政治学科を卒業後、テレビ朝日入社。編成局アナウンス部に配属され、報道、情報、スポーツ、バラエティとすべてのジャンルの番組を担当。1997年の退社後は、フリーアナウンサーとして、番組のキャスター、イベント司会、ナレーターのほか、企業研修講師として活躍中。