Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

仕事・人生

初年度の売り上げ「ゼロ」 窮地の中でも女性社長がモチベーションを保つことができたワケ

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・出口 夏奈子

現在、代表取締役社長を務める株式会社アンドエーアイの前身となる株式会社ドリグロを立ち上げた頃の西真央さん【写真提供:西真央】
現在、代表取締役社長を務める株式会社アンドエーアイの前身となる株式会社ドリグロを立ち上げた頃の西真央さん【写真提供:西真央】

 連帯保証人となった父の借金をきっかけに大学を中退した西真央さん。1年間の休学中に身につけた「社会の中でやっていける」という自信は、起業への転機になりました。さまざまな分野で活躍する女性たちにスポットを当て、その人生を紐解く連載「私のビハインドストーリー」。後編では、仲間たちと一緒に立ち上げたアプリ開発の会社で直面した苦難と乗り越え方について伺いました。

 ◇ ◇ ◇

父の借金をきっかけに大学を退学 必死に働いた経験が自信に

「あのときは、連帯保証人となった父が抱えた借金を機に、社会に出て頑張るしかなかったですし、誰よりも結果を出さなければと感じていました。だからこそ、早朝から深夜まで必死に仕事をしましたし、その経験が今につながっていると思います」

 大学では工学部で、建築やウェブデザインなどものづくりを学んでいたという西さん。しかし、1年の休学後に退学を選択。学生時代からアルバイトをしていたウェブ制作の会社に、正社員として入社しました。

 6年ほど勤めた会社は、若手社員の意見を柔軟に聞き入れ、チャレンジ精神を育んでくれる社風でした。そのおかげで、「成果を残すことができ、自信につながった」といいます。

 そして26歳のとき、仲間たちと一緒にアプリ開発の会社を起業することになりました。

「当時は不安よりも、『楽しそう』といった好奇心が勝っていたのかもしれないですね」

 会社員時代から「アプリ開発をやりたい」という気持ちがあった西さん。しかし、長年ウェブ制作に注力していた会社だったからこそ、事業転換することは容易ではなく、さらに同時期にアプリ開発に挑戦したいという知人がいたこともあり、「自分たちで起業しよう」ということになりました。

起業した会社の初年度の売り上げはゼロ モチベーションを保てた理由とは

 しかし、順風満帆とはいきませんでした。立ち上げたアプリ開発会社の初年度の売り上げは「ゼロ」。それぞれがお金を持ち出し、シェアオフィスの家賃を払うので精一杯だったと振り返ります。

「当時は、お金はないけれど、夢だけはある。そんな状況でした」

 起業から約1年間は、無給。会社の資本金も、オフィスの賃料も、自分たちの生活資金も、すべて自分たちの貯金を切り崩し、出し合っていたそうです。

「ごはんを食べるお金もなかったので、当時、借りていたシェアオフィスに置いてあった無料のドリンクとお菓子をつまんで食べていました」

 そんな状況でも、モチベーションを保つことができていた理由。それは、「新しいことにチャレンジすることが楽しかったから」。西さんは、「夢があると同時に、そういう気持ちがあったから、なんとかモチベーションを保つことができ、それが今につながっている」といいます。