どうぶつ
「本屋がねこを助け、ねこが本屋を助ける」 斬新なコンセプトの専門書店 初代番頭ねことの出逢いと叶えられなかった夢
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売り上げの一部を寄付するアイデアは保護ねこ活動をする団体から着想
では、“売り上げの一部を保護ねこ活動に寄付する”その斬新なアイデアはいったいどこからやってきたのでしょうか。
そのきっかけは、等々力(現在は鷺沼に移転)に保護犬・保護ねこのシェルターを構える一般社団法人「LOVE&Co.(ラブコ)」さんとの出逢いだったのだとか。
“シェルターで里親を探しているいぬやねこたちにドリップコーヒーのパッケージモデルになってもらう。そしてそのコーヒーの売り上げでその子たちのごはん代を稼ぐ”
LOVE&Co.が掲げていたこのコンセプトこそ、安村さんの理想とするものでした。
「本屋の売り上げでねこを助けるだけではなく、看板猫になることでねこは本屋を助ける。そんな相互の助け合いの関係ができたらいいなと思ったんです」
「実際にLOVE&Co.の方の話を聞きに行く時には、そのパクった(笑)アイデアの企画書を持参しました」
現在ではそのコーヒーを仕入れ、売り上げの一部をLOVE&Co.に寄付する、そんな関係ができあがっているのだとか。
看板猫として保護ねこをひきとろうとした矢先に不治の病を発症
安村さんがLOVE&Co.でお店のコンセプトについて熱く語っていたとき、その傍らにいたのが「Dr.ごましお」くん。LOVE&Co.で初めて保護したねこだったそう。
見知らぬ人が来ても全く物怖じせず、接客をしてくれるごましおくんを見て、安村さんは「こんな子が店員だったら……」と思ったといいます。
「でも、この子はきっとLOVE&Co.の看板猫になるんだろうなと思っていたので、迎えたいなんて言い出せなかったですね」
それから約1年が経過。ごましおくんはどこかに引き取られることもなく、シェルターの後輩ねこのお世話係になっていました。「開業する本屋の看板猫にごましおを」と、提案してもらったのがちょうどその頃だったそうです。
安村さんはこんなに嬉しい話はないと、心から喜んでいましたが、その矢先、ごましおくんは不治の病と言われるFIP(猫伝染性腹膜炎)を発症。結局、看板猫としてお店に立つことなく、亡くなってしまいました。
「ずっと、この子(ごましおくん)が本棚を行き来してるところを妄想してたんです」と安村さん。
ごましおくんは、レジ横に飾られたフレームから番頭として、今もしっかり“接客”をしてくれています。
(猫ねこ部)