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相続税で破産? 資産家親子の悲劇 不動産相続で気を付けたいこととは

公開日:  /  更新日:

著者:板倉 京

家族を守るためには覚悟と知恵をつけること

 君江さんのお父さんは50歳で亡くなりました。まだまだ働き盛り。相続税の対策など考えることもなかったでしょう。それでも、一等地にある収益の高い不動産を残してくれたのですから、本来であれば生活できないことは決してなかったはずです。

 でも、残された妻と娘では、賃貸経営もままならず、店子に家賃の値下げ交渉をされれば家賃を下げ、ビルのメンテナンスをするといえば、目が飛び出るほど高額な見積もりを出されても、いわれるがままに支払いました。そして、相続税の返済が滞っていても、生活レベルを落とすことができず、結果2倍に増えた税金に困り果ててしまったのです。

 このように、資産家が資産家であり続けるためには、財産を引き継ぐ家族、子はもちろん、妻にも財産を守り、育てる覚悟と知恵が必要なのです。知恵と言っても、なんでも自分たちで解決する必要はありません。

 わからないことをわからないままにしないこと。信頼できるアドバイザーを選び、良い関係を築きあげること。おかしいと思ったことに対しては、自分でもしっかり考えること。

 そういった教育を家族にすることが資産を守り、ひいては家族を守り続けることになるのです。

(板倉 京)

板倉 京(いたくら・みやこ)

1966年10月19日、東京都生まれ。神奈川県内で育ち、成城大学文芸学部マスコミュニケーション学科卒。保険会社勤務後に結婚。29歳で税理士資格試験の受験を決意し、32歳で合格する。36歳での長男出産を経て、38歳で独立。主な得意分野は、相続、税金、不動産、保険。テレビでは「あさイチ」「首都圏ネットワーク」(ともにNHK)、「大下容子ワイド!スクランブル」(テレビ朝日系)、ラジオでは「生島ヒロシのおはよう一直線」(TBSラジオ)などに出演して解説。主な著書は「夫に読ませたくない相続の教科書」(文春新書)、「相続はつらいよ」(光文社知恵の森文庫)、「女性が税理士になって成功する法」(アニモ出版)、「知らないと大損する! 定年前後のお金の正解」(ダイヤモンド社)など多数。