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どうぶつ

私財を投じて保護猫活動する小児科医 現在お世話している猫50匹以上 23年で180匹超を保護

公開日:  /  更新日:

著者:峯田 淳

お世話してきた猫の総数は180匹以上 「姉が毎週のように譲渡会に」

たくさんの猫たちが、ごはんを食べる様子【写真提供:林かおる】
たくさんの猫たちが、ごはんを食べる様子【写真提供:林かおる】

 これまでお世話した猫の総数は180匹以上。保護したまま最後まで看取ったり、譲渡会などに連れて行き、里親を探したりした猫は130匹以上。

「姉が毎週のように譲渡会に行っています。譲渡に連れて行き、気に入った猫がいる人には、ここまで来てもらい、その人の住環境を見て、トライアルに出すこともあります。譲渡会のメンバーの方にも手伝っていただいて。ただ、成猫が多いので、なかなか里親が決まりにくいですね。『家で慣らしてみます』とか、『頑張ってやってみます』という方も多いのですが」

 林先生が猫を飼い続けるのはどんな理由からでしょうか。林先生は猫派。犬よりも猫が好きだそうです。

「猫は自分勝手、ツンデレでしょ。私にとっては、そこが気楽でいいんです。猫は思いが強くても、ある程度触れ合ったら“もういいわ”という感じになるでしょ。好きなときに寄ってきて、自由に生きている。猫とのそんな関係が好きです」

 熱い思いも語ってくれました。

「私は小児科医だから、命ある子どもは未熟児であっても必ず助けたいと思っています。命あるものは子どもでも猫でも同じ。五郎丸がそうでした。目の前で死んだりしたら耐えられない。小児科医だから、言葉をしゃべれない子どもを見ることも多いわけですが、しゃべれないのは動物も同じ。ものが言えず、SOSを出したら、助けてあげたくなります」

「殺処分されることも、なんとかしないといけない」

さまざまな思いを語ってくれた林先生【写真提供:林かおる】
さまざまな思いを語ってくれた林先生【写真提供:林かおる】

 話は子どもと動物の虐待にも及びました。

「堺市で子どもの虐待の委員をやって、24時間、虐待を監視するシステムを始めました。虐待は連鎖します。虐待をする人は小さい頃に虐待されたとか、親から十分な愛情を受けていないことが多い。そういう子が大人になると我が子を虐待するようになるわけですが、それって実は動物いじめから始まっているんです。弱い動物に対する愛情が欠けているところから、虐待は始まる。そういうことから動物を守りたいですね」

 さらに、「捨てられた猫、野良猫が保護センターで殺処分されることも、なんとかしないといけない」とも。

 早朝5時起床、猫の世話をしてから、午前診療は9時から12時、午後は医師会の仕事や学校の健診などをこなし、4時からは再び診療、7時終了。食事をして9時から11時くらいまで猫のお世話。林先生の一日は多忙です。

(峯田 淳)

峯田 淳(みねた・あつし)

コラムニスト。1959年、山形県生まれ。埼玉大学教養学部卒。フリーランスを経て、1989年、夕刊紙「日刊ゲンダイ」入社。芸能と公営競技の担当を兼任。芸能文化編集部長を経て編集委員。2019年に退社しフリーに。著書に「日刊ゲンダイ」での連載をまとめた「おふくろメシ」(編著、TWJ刊、2017年)、全国の競輪場を回った「令和元年 競輪全43場 旅打ちグルメ放浪記」(徳間書店刊、2019年)などに加え、ウェブメディアで「ウチの猫がガンになりました」ほか愛猫に関するコラム記事を執筆、「日刊ゲンダイ」で「前田吟『男はつらいよ』を語る」を連載中。