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押し寄せる外国人観光客 日本の対応は遅れている? 富士山入山料などの観光税から考える日本の観光産業

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

人気観光地には多くの外国人観光客の姿が【写真:Getty Images】
人気観光地には多くの外国人観光客の姿が【写真:Getty Images】

 京都、富士山、宮島――日本を代表する観光地で、外国人観光客を目にすることが多くなってきました。日本政府観光局(JNTO)によると、2019年度は過去最多の3188万人の外国人観光客が訪日。今年はそれを超えるペースで推移しています。人気観光地では公共交通機関の混雑、異なる文化や習慣、言語の外国人の受け入れに戸惑うことも。国の全人口のほぼ2倍となる8500万人超の外国人観光客を受け入れる観光大国・スペインから、何か学べることがあるでしょうか。駐日スペイン政府観光局のハイメ・アレハンドレ局長に伺いました。

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ネガティブにとらえられがちな観光税

 国内外の観光客に人気で、世界文化遺産にも登録されている厳島神社がある広島県の宮島では、昨年10月から宮島に訪れる観光目的の人に対し、廿日市市が100円の宮島訪問税を導入しました。また、同じく世界文化遺産の富士山も、2000円の入山料を7月から山梨県が設けたことも大きな話題となってします。

 日本ではまだあまりなじみがない、各自治体主導の観光税。しかし、アレハンドレ局長によると、年間約8510万人(2023年)もの外国人観光客を受け入れ、世界でも有数の観光大国であるスペインをはじめとする国や地方では、グローバルスタンダードになっているといいます。

「観光都市バルセロナを擁するカタルーニャ州では、ホテルや民泊、クルーズでも宿泊する人たちは2~4ユーロほどの税を払わなければいけません。

 宮島では100円ですか? 無料も同然ですね。富士山への入山料も特別高いとは感じません。はるばるやってきた人たちが、この金額を払いたくないから行かないという選択肢はないでしょう。各観光地がサステイナブルになる必要があります」

 観光税はさらに多くの観光客を誘致、受け入れをするための環境整備や文化・歴史的価値が高い建造物などの管理などに使用されることがほとんどです。「無料だったものが有料になる」という面ばかりにどうしても注目が集まりがちですが、「環境」「社会」「経済」の観点から持続可能で発展性のある観光を目指すためには、多くのケースで財源の確保は最優先課題といえるでしょう。