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押し寄せる外国人観光客 日本の対応は遅れている? 富士山入山料などの観光税から考える日本の観光産業
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日本では否定的な二重価格 世界的には珍しくない
今年6月には、世界文化遺産の姫路城を有する姫路市の清元秀泰市長が、現在1000円の入場料を外国人観光客に限って30ドル(約4500円)に引き上げたいという展望を語り、賛否の声が上がりました。外国人観光客のみが高額な入場料を払うというのは、どうなのでしょうか。
「スペインや世界でも、二重価格を導入している名所はいくつもあります。私が初めて見たのは30年ほど前に行ったインドです。外国人とインド国民の2つの料金がありました。
スペインでは、カナリア諸島のテイデという富士山にそっくりな山があるのですが、山頂近くまでケーブルカーでアクセスできます。そのケーブルカーの乗車料は、国籍に関係なくカナリア諸島民の住民かそれ以外かで、2つの料金が設定されています」
日本ではまだ二重価格についてネガティブな印象が強く、富士山入山料を決めた山梨県の長崎幸太郎知事も「あまり感じが良くない」とのことでしたが、世界的に見れば決して珍しくない潮流のようです。
現在の日本は転換期 観光大国スペインも1960年代は同じ状況だった
過去50年にわたって、世界トップ3の観光大国に名を連ねているスペイン。訪れる外国人観光客数は、スペイン総国民の約2倍に達する勢いです。国にとっては重要な産業であり、GDPに占める割合は13%、国民の13%が観光業に従事しています。そのような観光大国になるまでに困難はなかったのでしょうか。
アレハンドレ局長によると、スペインが観光地として人気になってきた1960年代は、現在の日本の状況と似た部分があったといいます。
「英語を話せる人間も少ないなか、多くの異なる習慣や文化を持った外国人が訪れてきて驚いたのです。そこで、国として戦略的に計画を立てました。言葉の問題、デジタル化、異文化の受け入れなど――時代の流れに合わせてさまざまなことに対応し続けること60年です。おそらく、日本もそのような受け入れ態勢構築への転換期にあるのでしょう」
2030年までに、現在の約2倍となる6000万人の外国人観光客の受け入れ目標を掲げている日本。転換期の今、さまざまな対策を練り、態勢を構築していくことで観光客や観光産業に従事する人はもちろん、地元住民などすべての人に幸せがもたらされる未来につなげていきたいところです。
(Hint-Pot編集部)