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“シブジョ”はどんな学校? ギャル雑誌元編集長の校長が語る「何者かになる」女子たちへの思い

公開日:  /  更新日:

著者:大橋 礼

教壇に立つ赤荻瞳さん【写真:荒川祐史】
教壇に立つ赤荻瞳さん【写真:荒川祐史】

 ギャル雑誌「egg」の元編集長で「世界を変える30歳未満(Forbes JAPAN 30 UNDER30 2023)」にも選ばれた赤荻瞳さんは、2023年から渋谷女子インターナショナルスクールの校長を務めています。通称“シブジョ”はどんな学校なのか、どんな授業を行っているのか、スクール設立の目的や生徒たちへの思いについてお聞きしました。

 ◇ ◇ ◇

渋谷女子インターナショナルスクールとは

 渋谷女子インターナショナルスクール(通称“シブジョ”)は、「渋谷」で育ち、世の中に飛び出した講師陣たちから学び、世界で活躍できる女性の育成を目的としたサポートスクール系の学校です。通信制高校を卒業するための支援校に近く、高卒資格は提携の通信制高校を卒業することで取得できます。

「渋谷・表参道の商業施設の中にある学校というが特徴のひとつです。でも一番の特徴は、現役で活躍されている先生方が実践的なスキルを教えてくれるところです」

“シブジョ”の時間割を見ると、SNS、動画クリエイティブ、ファッション、そしてメイクの授業も。とくに、SNSや英語には力を入れていると赤荻さんはいいます。

 周りにどう思われるかが重要ではなく、「こう思う」「これがかわいい!」と自分目線で自分のカルチャーを醸成していく令和のギャルたちは、発信力を“シブジョ”でスキルとして磨いていきます。

「重視しているのは、生徒さんたちが主体性を持って行動することですね」

 全部自分で考えて行動する。校則も、必要なら自分たちで考えて自分たちで作る。「誰かにやらされるのではなく、自ら考えて行動することが大事なので、たとえば入学式も“シブジョ”では4月ではなく1か月後に行うんです」と赤荻さん。

 入学式はなんのためにやるのかから考え、話し合い、何をやりたいかを自分たちで企画し制作する「手作りの入学式」です。

 文部科学省は「主体的な学び」により、生き抜く力を育む教育を推進しています。赤荻さんの語る「使えるスキルを学んで、自分で考え自分で行動する」ことは、まさに主体的な学びを実践しているともいえます。

「何者かになりたい子」に実践的スキルを提供する

 開校してまだ2年ですが、印象に残っている生徒さんについて赤荻さんに尋ねてみました。

「1期生のひとりが、推しのYouTuberさんがいて、その人を助ける仕事をするのが夢ですと入学試験の面接時に話してくれました。この生徒さんは、入学から4か月後に東京ガールズコレクションのティーン向けイベントのインターンとして参加し、実際にそのYouTuberさんのお手伝いを経験しました」

「もう夢が叶った!」と本当にうれしそうな生徒さんの笑顔が、赤荻さんは忘れられないといいます。憧れのステージの裏方として見えてくるもの、学んだものも大きかったことでしょう。

「ある生徒さんは、地方の地元で頑張ってSNSをやっていたけど、地域的にそういう子は目立って、ちょっと白い目で見られてしまったり、周囲から浮いてしまったりしていたらしいのです。でも“シブジョ”に入って、しっかり動画を専門的に学んでライブ配信もすごく頑張っていたらどんどんファンを獲得して、高1ミスコンというイベントでグランプリを受賞しました。最終的には地元の友達にも応援してもらえたっていうのを聞いて、ああ良かった、うれしいなと思いました。

 入学してくれた生徒さんたちのなかには、やりたいことがまだ見つかっていない子もいます。“シブジョ”でのさまざまな経験を通して、実際に現役で活躍している先生方の姿から学んで、何者になりたいのかを見つけ、自らその目標に向かっていってほしいです」

 赤荻さんは「校長先生」として、そう語ってくれました。