カルチャー
日本ですき焼きを食べようとしたら…アメリカ人が騒然のワケ 「食べたことないです」
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寿司、天ぷら、ラーメン……。訪日外国人にとって、これらを“日本で食べること”は特別な意味を持ちます。世界に日本食レストランは広く普及しているものの、現地風にアレンジされていたり、食材に冷凍品を使っていることも。そのため、日本で食べると、本場ならではの味や食べ方に驚くこともあります。アメリカから初来日したシーヤンさん一家は、すき焼きを食べるときに斬新な体験をしたそう。詳しい話を聞きました。
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すき焼きで初体験 目を奪われたのは…
シーヤンさんはルイジアナ州ニューオーリンズから家族4人で来日しました。10年ほど前にツアーで観光した2人の息子を除くと、日本は初めてで、東京のほか、京都、大阪、奈良、箱根など主要な観光地を回り、さまざまな体験をしました。
来日翌日には、25年前にニューオーリンズに留学に来ていた日本人の友人と再会。都内を案内されました。最初に向かったのは築地です。活気ある市場を巡り、お土産を買い、珍しいクジラの肉を食べ歩き。ランチは新鮮なネタが盛りだくさんの寿司に舌鼓を打ちました。
その後、渋谷でハチ公像やスクランブル交差点、Nintendo TOKYOやポケモンセンターを回りました。渋谷スクランブルスクエアの展望施設は予約でいっぱいで入れませんでしたが、新名所の東急プラザ原宿で休憩。さらに明治神宮に参拝します。
2020年に鎮座100年を迎え、都内でも屈指の観光スポットとして人気の明治神宮。広大な敷地は都会の騒がしさとは無縁で、荘厳な雰囲気に包まれています。
長男のデンさんは、「明治神宮は足を踏み入れた瞬間に、フィーリングが違いました。何もかもが。静かで平穏でした」と感激の様子。本殿の裏手を歩き、北参道を抜け、代々木へ。大江戸線に乗って都庁に行き、無料展望台で今度は上からの眺めを楽しみました。
そして夕食の時間です。日本人の友人がもてなしたのは、和食店でした。夜景を堪能しながら、個室でいただくコースは、どれも伝統的な日本の料理です。
シーヤン一家が目を見合わせたのは、メインの和牛を使ったすき焼きが運ばれてきたときでした。
彼女たちが興味を持ったのは、すき焼きに添えられた生卵です。
「これ、生卵ですか?」「食べたことないです」と口々に言い合いました。
来日前に日本食を紹介する映像で確認しており、すき焼きならセットで出てくることは分かっていたそう。とはいえ、生卵を食べるのは初めてで、おそるおそる肉をからめて食べました。
シーヤンさんはアメリカと中国2つの国に精通しています。ただ、卵の生食文化はどちらの国にもないとのことでした。
「中国では卵の調理方法がたくさんあります。例えば、ゆでる、蒸す、炒めるなどです」。確かに中華料理は、卵を使ったメニューは豊富ですが、生卵を使ったものは思い浮かばないですね。
ちなみに、生卵が初めてだったことを招待した日本人は知らず、やや慌てた様子だったとのこと。
気になる味はどうだったのでしょうか。
「食べるとき少し心配したけど…」
はしをつけることに、「私は怖くはなかったです」というシーヤンさんは、「実際それはよかったですね。生卵によって食べ物がより滑らかになり、熱い食べ物がすぐに冷めます。でも、食べ物が少し野性的な味になります」と笑顔です。
次男のデビットさんも「食べるとき少し心配したけど、味はとてもよかったです」と安堵(あんど)の表情を浮かべました。
「生卵は世界で日本だけだと思う。衛生管理がいいから」との評がある一方で、最近では日本に倣い、海外でも少数派ですが、和食店を中心に、生卵を提供するところもあります。韓国のように、ビビンバに生卵を乗せ、器で焼いていく調理法もありますね。
日本政府観光局の発表では、今年上半期の訪日外国人数は過去最多の1777万7200人で、各地でにぎわいを見せました。
彼らがどんな食の思い出を持ち帰ったのか、気になるところですね。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)