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からだ・美容

ニキビと吹き出物の違いは何? できてしまう原因で勘違いしがちなことを医師が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

ニキビや吹き出物などによる肌トラブルに悩むことも(写真はイメージ)【写真:写真AC】
ニキビや吹き出物などによる肌トラブルに悩むことも(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 ニキビと聞くと、10代の若い世代特有の悩みのようなイメージがありますが、30代や40代でもニキビと言って良いのでしょうか。それとも吹き出物と言うのが正解? 知っているようで知らないニキビと吹き出物の違い、できやすい人の傾向について、医療法人社団日進会にっしん皮フ科・形成外科の平岩亮一院長に伺いました。

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ニキビと吹き出物は別物?

 ニキビも吹き出物も、皮膚疾患の俗称です。一般的に20歳未満の人に現れる毛穴の化膿をニキビ、20歳を越えてから現れたものを吹き出物のような解釈が多いようですが、それは間違いです。

 昭和の時代に、ニキビは「青春のシンボル」として表現されてきたため、「若者だけにできる特別な症状」という誤解が広がり、いつしか定着したものと考えられます。このため、20歳を過ぎてから発症したニキビの症状をニキビと言ってしまうと矛盾が生じてしまうことから、毛穴の炎症性疾患をひとまとめに吹き出物もしくは「大人ニキビ」とし、一般的に理解しやすいように表現したのではないかと思います。

 そもそもニキビは「尋常性ざ瘡(ざそう)」という診断名があり、毛穴が化膿、もしくは化膿を繰り返した後に「面皰(めんぼう)」という「ニキビの芯」ができた状態になる疾患です。したがって、年齢に関係なく発症します。

 一方、吹き出物に単一の診断名はありません。一般的なイメージとしては、ニキビの症状をはじめ、毛穴が腫れて皮膚が赤くなる「毛包炎(もうほうえん)」や、頬や額など顔の中心付近に赤みが生じる「しゅさ(赤ら顔)」、鼻先やアゴにできるおでき「面疔(めんちょう)」など、毛穴に炎症や化膿を起こすさまざまな炎症性皮膚疾患の発症を表すときに使われます。

 なお、皮膚科を担当する医師が吹き出物という俗称を常用することはありません。ただし、患者様にわかりやすい言葉で説明する際に「いわゆる吹き出物です。厳密には○○です」など、疾患の具体的な説明に入る前説として使用する場合はあります。

ニキビと吹き出物ができやすい人の特徴とは

 ニキビや吹き出物ができる原因については、さまざまな要因が考えられますが、あえてひと言でいえば「洗顔、クレンジングが入念すぎる」傾向にある人ほどできやすいのです。

 多くの人が、ニキビや吹き出物ができると「洗顔ができていない」とか「保湿が足りていない」ことを理由に考えますが、それらは原因ではありません。皮脂や化粧品類が肌に残ることで、ニキビや吹き出物ができるわけではないのです。「本来のバリア機能を弱くしてしまっているから」というのが原因として考えられます。

 もちろん皮脂量が多すぎても肌トラブルの原因にはなりますが、洗顔料や保湿方法を変えてもニキビや吹き出物の症状が良くならない人は、皮脂を必要以上に洗い流している可能性が高いです。つまり、自らの肌バリア機能を低下させています。

 皮脂とは、皮脂膜という角質層の屋根となる肌の重要なバリア構造を作るために必要な因子で、「刺激性のある汗成分を肌の深部に浸透させない」「肌の悪玉細菌の繁殖(ブドウ球菌や溶連菌)を阻止する」といった重要な役目を持っています。皮脂膜が十分にあり続ける肌環境であれば、角質層内部にしっかりと水分が蓄えられ天然の保湿システムが働き、ニキビや吹き出物はできにくくなるのです。

 ところが、入念な洗顔やクレンジングで必要な皮脂を落としてしまえば、いくら高額な保湿剤を使用しても、天然の保湿システムには敵いません。かえって肌を傷めることになり、ニキビや吹き出物を発症、悪化させる要因になります。

 とくに、頬やアゴ周りのニキビや吹き出物で悩んでいる人の多くは、長年にわたる丁寧すぎる洗顔が原因で肌が薄く弱くなり、真皮層の毛細血管そのものが傷んで火照りやすくなっています。

 ニキビは何歳になってもできます。ニキビや吹き出物に悩んだ際は、クレンジングや洗顔料でゴシゴシと顔を洗わないこと。また、ファンデーションを落とすときは、冷または温タオルを肌に優しく当てて色がだいたい取れるくらいにとどめると良いでしょう。それでも悪化してしまう場合は、専門医に相談してください。

(Hint-Pot編集部)