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「こんな人いるんだ…」 登山でSNSの情報を鵜呑みにしないで 山岳遭難に注意喚起
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山岳遭難が増加しています。警察庁が2024年6月に発表した「山岳遭難概況」によると、2023年の山岳遭難発生件数は3126件に上り、統計が残る1961年以降、最多となった2022年を上回りました。SNSの普及で登山が身近になった一方で、即席パーティを組んだことでトラブルになったり、自身の力量を見誤り事故につながったりするケースが発生。長野県警察山岳遭難救助隊は公式X(ツイッター)アカウント(@NAGANO_P_M_R)で、実際に遭難した人の声を紹介しています。
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「真似して行っているんですけど…」 遭難者の実際の声
「その #SNS の投稿者は、ご自身と同じ程度の登山経験や体力を持った方ですか?」
同隊は7月29日、登山の情報収集におけるSNSの使い方について、Xで注意を呼びかけました。投稿には「実録 遭難者の声~中央アルプス木曽駒ケ岳 道迷い~」と題した動画が添えられています。
動画は、6月に中央アルプスで救助された遭難者から、遭難の状況について聴取した映像です。遭難者は登山を始めたばかりで、高尾山と長野で3つほど山に登ったことがあると語る男性。今回が“初アルプス”でした。
単独で千畳敷から入山し、木曽駒ケ岳を経由して下山中、霧と残雪により行動不能に。救助要請を受け、近くの山小屋から遭対協(長野県山岳遭難防止対策協会)が出動し、無事救出されました。
聴取に対して「今回行ったコースは、誰かが前回行っている記録を見て、それを真似して行っているんですけど……」と、男性は悪びれずに話します。遭難した原因は、急な登りの道があったため、別なルートを通る選択をしたことでした。
途中、いまさら戻れないと感じた男性は、そのまま突き進んでしまったといいます。残雪があることについては、登山アプリで同時期の山の様子を調べていたものの、6月に冬山だという認識はまったくなかったそうです。
動画の終盤には、「初心者向けに紹介されている山でも天候の悪化や残雪など季節や条件によって難易度は変わります」と注意喚起が。「SNSの情報は鵜呑みにしない! 山岳雑誌やガイドブック等も活用して総合的に判断しましょう 山岳地図やヘッドランプも忘れずに 入念な登山計画と綿密な準備が安全登山の第一歩です」と、登山の心がまえを示しました。
「ご自身のレベルに見合った計画を!!」
動画は大きな注目を集め、13万回以上再生されています。また、リプライ(返信)には「他人事じゃないな。でも初心者はなおさら、どうしたらいいかとかわからないよなぁ」「こんな人いるんだ……」「何事においても『○○さんが大丈夫って言ったからぁ』が多いですね」「自分の体力や、自分のレベルに合った山を慎重に選びたいです」などの声が寄せられました。
同隊は投稿の本文で、「SNS上の登山記録や成功体験は、登山を計画するうえでとても参考になりますが、投稿者のスキルなどがわからないため、ご自身も同じ登山ができるとは限りません。SNSの情報を鵜呑みにせず、ご自身のレベルに見合った計画を!!」と綴っています。
山の天候は変わりやすく、たとえ低い山であっても油断は禁物です。登山をする際は事前に情報収集し、装備を十分に整えるのはもちろんのこと、違和感を覚えたときにすぐ勇気ある撤退をすることを心に決めておきましょう。
(Hint-Pot編集部)