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日帰り登山にも潜む遭難の危険 入山前の準備と装備品 知っておきたい心得とは
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本格的な秋の訪れとともに、行楽シーズンを迎えました。アクティブに動きやすい季節になったことで、休日のレジャーとして登山を楽しみたいと考えている人も多いでしょう。しかし、山ならではの危険が多いことも事実で、毎年多くの遭難事故が報告されています。そこで、簡単な日帰り登山でも心得ておくべきことについて、「公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会(JMSCA)」常務理事・登山副部長の蛭田伸一さんと事務局の廣川厚子さんに話を聞きました。
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整備された登山道でも危険は身近に 遭難原因の最多は…
高尾山(東京都八王子市)のように都市部からでも短時間でアクセスできる山も多く、ロープウェイなどを使うと山頂近くまで比較的簡単に登れることから、休日のレジャーとしてチャレンジしやすい登山。紅葉の見頃を迎えるこれからは、ますます山へ足を運びたくなる季節になります。
ただ、初心者でも気軽に楽しめるイメージとは裏腹に気になるデータが。警察庁が今年6月に発表した「令和2年における山岳遭難の概況」によると、昨年だけで2294件の遭難(自力で山から下りられなくなること)が発生し、遭難者は2697人に上っているそうです。
遭難の原因は「道迷い」が44%で最多。登山道が整備されたメジャーなスポットならこうした事故とは無縁かと思いきや、「天候の急変によっては起こり得る」と蛭田さんは警鐘を鳴らします。
「天候が急変してホワイトアウト(雪や雲などによって視界が白一色となり方向や地形の起伏が識別不可能になる現象)などが起きてしまうと、整備された登山道を歩いているつもりでも、いつの間にか違う道に踏み入ってしまい、道迷いにつながってしまうんです」
また、「道迷い」に続く遭難の原因は「滑落」(15.7%)と「転倒」(13.8%)。特に登山初心者で運動を普段あまりしない人は、疲労が蓄積した下山中にこうした事態が発生しやすく、遭難のリスクが必然的に高まってしまいます。
ただ一方、登り始めの30分をあえてスローペースで歩くことや定期的な休憩(5分くらいの休憩を30分に1回、あるいは10分くらいを50分に1回)で疲労度は軽減できるそうで、これらは予防できる「ヒューマンエラー」としての側面も強いそうです。