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「泊まる部屋もないのに、行きたくない」 夫の実家帰省を拒む妻の本音は? 夫婦カウンセラーがアドバイス

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:夫婦カウンセラー・原嶋 めぐみ

民宿に泊まるなら帰省したくないと言う妻。どうすればいい?(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
民宿に泊まるなら帰省したくないと言う妻。どうすればいい?(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 夏の帰省シーズン。素敵な思い出になる場合があれば、けんかの種になる場合もあります。そこで、お盆時期の帰省中に起きた夫婦間のトラブル体験談を、夫婦カウンセラー・原嶋めぐみさんのアドバイスとともにお届け。2回目は、久々の帰省で妻と険悪な雰囲気になってしまったという男性のお悩みです。

 ◇ ◇ ◇

コロナ禍で変わった環境 それに対して妻がキレた!?

 相談者は、埼玉県在住の角田隆一さん(仮名)。コロナ禍で帰省できずにいた実家へ、昨夏、久しぶりに帰ることになりました。

「僕の実家は九州のとある地方にあります。田舎“あるある”だと思うのですが、実家は7LDKとまあまあの広さがあり、10畳ほどの僕の部屋は結婚後もそのまま残されています。帰省時には妻や息子とともに、その部屋で寝泊まりしていました。妻と実家の家族(祖父母と両親)の仲はとても良く、妻は実家に行くたびに、自ら進んで家族の手伝いをしてくれていました」

 トラブルのきっかけになったのは、子ども3人を抱える隆一さんの妹夫婦が実家で同居することになったことです。妹が働いていた飲食店はコロナ禍で事業を撤退し、妹の夫の会社も売り上げが低迷。収入が激減しました。

 隆一さんの部屋は甥が使うため空けることになりましたが、広い家を持て余して掃除するのにも苦労していた祖父母や両親を思うと、妹が戻ってくれてラッキーと思っていたそうです。ところが昨年のお盆休み、実家へ久しぶりに帰省するときになって、妻が文句を言い始めました。

「7LDKあるとはいえ、祖父母、両親、妹家族5人で合計9人の大家族で住んでいるので、客間もない状態です。両親と相談した結果、親戚が近くで営んでいる民宿に泊まることにしたのですが、なぜか妻がこれに反発しました」

 親戚価格で宿泊費は1人4000円。とても豪華な朝食と、建て直したばかりなこともあり宿はとてもきれいで快適だったのに、何が不満なのかわからないという隆一さん。結局、昨年は泊まりましたが、それでも妻は納得いっていない様子です。

「1年経つ今でも、ことあるごとに『息子家族を民宿に押し込めるなんて!』『家族が帰省する部屋もないなんて!』と、ブツブツ文句を言っています。そして今年の帰省は『泊まる部屋もないのに、行きたくない』と突っぱねられてしまいました」

 高校生の息子は「あの民宿ならまた行きたい!」と言っているため、妻抜きでの帰省も視野に入れているという隆一さん。「妻が本当に頑なで……。どこに間違いがあったんでしょうか」と悩んでいます。

「報連相」があれば違った可能性も

 夫婦カウンセラーの原嶋さんに、問題はどこにあるのかお聞きしました。

「あくまでも推論になりますが、隆一さんの妻は、家族として、ある程度の報告が欲しかったのではないでしょうか」

 原嶋さんのこの言葉を元に再度、隆一さんに確認したところ「妹家族が実家に戻ったこと、部屋を明け渡したことを初めて伝えたのは、昨年の帰省直前だったかもしれない」との答えが。

「自分の実家ではないし、何か意見する権利がないことは、妻本人もわかっていたことでしょう。でも、もしかしたら妻のほうは、以前から『いざとなったら夫の両親と同居して面倒を見よう』くらいの覚悟を持っていたのかもしれませんし、そのためにも祖父母や両親とうまくやろうと、帰省のたびに気負っていたかもしれません。

 それなのに、こうした大切なことでなんの相談をされることもなく蚊帳の外。せっかく久しぶりに帰省するんだから、夫の実家であれをして、これをしてといろいろ考えていたのに、民宿へ追い出されたように感じてしまったのではないでしょうか」

 では、隆一さんは今後、どうすればいいのでしょうか。

「まずは、これまで妻がしてくれたことに対して、きちんと感謝の意を伝えましょう。それとともに、妻にきちんと経緯を『報連相』しなかったことを誠心誠意、謝罪してください。そして、妻をないがしろにしているつもりはなかったが、結果的にそう感じさせてしまったことも謝りましょう」

 また、帰省ではない形にしたほうが、一度へそを曲げてしまった妻も歩み寄りやすくなるのではとアドバイスします。

「家族旅行という体にし、実家には必要最低限しか行かず、九州を観光してみてはどうでしょう。妻側が譲歩してくれそうな提案を行うといいと思います。もちろん、まったく違う意図で妻側が怒っている可能性もあるので、謝罪しても態度が改善されなかった場合は、話し合いの時間をできるだけ多く持ち、妻の本音を聞き出すことが大切です」

 自分にとっては些細なことでも、相手から見たらそうではないことがあります。「とくに家族・親族間のことは、たとえどんなに小さなことでも夫婦間で共有しましょう。そうすれば、このようないさかいは減るはずです」と原嶋さん。日頃からのコミュニケーションがとても大切です。

(和栗 恵)