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夫と義母が無断で命名 子どもの名付けで騙し討ちされた女性 夫への不信感は修復不可能
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日本では、子どもの両親が我が子の名前を命名することが一般的です。名前とは子どもの一生に付いて回るもの。さらに、一度名付けたらよほどでない限り変更はできず、親の責任はとても重大です。待望の第1子の誕生を心から待ちわび、夫婦で一生懸命に名前を考えていたにもかかわらず、ご主人からの大きな裏切りに遭ってしまったという女性に話を聞きました。
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不妊治療を経て妊娠 第1子の名前を夫婦で熟考
中部地方在住の由梨子さん(仮名・38歳)は今、ご主人と離婚するかどうかの“瀬戸際”に立っているといいます。その原因となったのは、5月末に生まれたばかりの我が子の名付けでした。
「2年間も不妊治療を続け、ようやく我が子を授かりました。妊娠が分かった時は、夫と泣きながら抱き合って喜びました」
新型コロナ禍の中での妊娠・出産に不安を抱えつつも、できるだけ出歩かないようにし、予定していた里帰りを取りやめて、自宅近くの病院での出産に備えたという由梨子さん。
「安定期に入った頃から我が子の名前を考えていました。キラキラネームではなく、渋すぎるものでもなく、現代的だけど、誰からも受け入れられるような名前がいい。そう思い、夫と話し合いながら5つほど候補を挙げました。後は、生まれた我が子の顔を見て、一番しっくり来る名前をその中から選ぶことになっていたんです」
その後、由梨子さんは無事に出産を終え、数日間の入院ののち退院。迎えに来てくれたご主人とともに自宅へ戻る最中に事件は起こりました。ご主人との面会がままならず子どもとゆっくり触れ合えていなかったため、名前は退院後に決めようと話し合っていたにもかかわらず、「出生届もう出したよ」と言われたのです。
一瞬、何が起きたか分からず、ただ呆然としてしまったという由梨子さんに対し、ご主人はあまり怒っていないと思ったのか、笑顔になって説明を始めたそう。
「要は義母が勝手に占い師に命名を依頼していたそうで、その中から2人で決めたそうです。そんな話まったく聞いてなかったですし、私自身占いはあまり信じない方なので……」と、由梨子さんは苦々しい表情で語ります。
夫が信用できない 日に日に深まる不信感
由梨子さんはすぐに出生届の名前を変更する方法を調べましたが、家庭裁判所の許可が必要になることが分かったそう。一縷の望みをかけて役場に問い合わせましたが、やはり受理された出生届を役場で変更することはできませんでした。
「付けられた名前はいたって平凡で、姓名判断も申し分ない。無理やり自分を納得させようとしたのですが、やっぱり子どもの名前を呼ぶ時に抵抗があるんです」
このままでは、愛しい我が子のことすら嫌いになってしまいかねない――そう危惧した由梨子さんは、不満を飲み込んでご主人をあえて必要以上に責めず、努めて平静を保つようにしたといいます。
「最初は義母のせいだと思っていたんですが、冷静になろうとするほど本当に悪いのは義母じゃなくて夫なことに気が付いてしまって……。しかも『2人目の時は由梨子が付ければいい』と少し恩着せがましく言われたこともあって、あんなに大変だった不妊治療を乗り越えて、やっと産まれたところなのにって……。今はただ、夫への不信感で、日に日に一緒にいる時間が苦痛になっていってるんです」
由梨子さんが今でも心の底で怒り続けていることを、ご主人も感じてはいるようですが、今ではあちらもなるべく触れないようにしてくるそう。待望の第1子の名付けがきっかけで、修復不可能なほどに夫への不信感が募ってしまったという由梨子さん。周囲からは「離婚するくらいなら、改名の手続きをしてみれば」と勧められるそうですが、名前にケチが付いたような感覚をどうにも拭い切れる気がせず、踏ん切りが付かないそうです。
(和栗 恵)