食
災害時の食の知恵 不足しやすい栄養素とストックすべき食品を栄養士に聞いた
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教えてくれた人:和漢 歩実
災害時の食で意識したい栄養素と働き
災害時の食の知恵として、次の栄養素が含まれる食品を押さえておきましょう。常温長期保存が可能で、開封しただけで食べられるものや水を注ぐだけなど、簡単な調理で食べられるものがおすすめです。
○炭水化物(糖質)を含む食品
エネルギー源となる米、パン、餅、シリアル、麺類、ビスケットなどです。レトルトごはんや粥、アルファ化米などが備蓄に便利ですが、水や加熱を必要としないレトルトパウチの粥はとくにおすすめです。
粥は水分が多く、消化が良いメリットもあります。サケや卵など具材が入ったものがあると、たんぱく質などほかの栄養素もとれます。
○たんぱく質を含む食品
体を作る源となる栄養素です。肉や魚介、大豆製品などに含まれます。そのまま食べられる焼き鳥やコンビーフ、サバやイワシ、ツナ、アサリ、大豆の水煮などの缶詰やレトルトパウチ食品をストックしておきましょう。カツオ節やサケフレークなどを、ごはんや白粥に混ぜて食べるのも良いでしょう。
常温保存できる中華丼やカレー、牛丼などのレトルトパウチ食品もおすすめです。多種類の具材が入ったものだと、さまざまな栄養素が摂取できます。
○ビタミン、ミネラル、食物繊維を含む食品
体の調子を整える栄養素です。果物や野菜、海藻などに多く含まれます。缶詰や乾物をストックしておきましょう。海藻ミックスやカットワカメ、切り干し大根などの乾物でミネラルや食物繊維を補えます。トマトやフルーツ缶、野菜ジュースも便利です。
水が必要になりますが、フリーズドライのスープやみそ汁もおすすめです。ドライフルーツやナッツ類をストックしておくと、ビタミンやミネラル、食物繊維の補給に役立つでしょう。
このほか、チョコレートや飴、羊羹など個包装になっている菓子類は、手を汚さずに食べられます。最近は溶けないチョコレートもあるので、暑い季節に便利です。手軽なエネルギー補給になると同時に、不安な気持ちをほっとさせるので、リラックスやリフレッシュにもつながります。
災害時にパニックにならないためにも、知識と備えは重要です。家庭での食品ストックに役立ててください。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾