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ブドウの皮の白い粉 保存前に洗い流してはいけない おいしさを逃さないコツを栄養士が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

旬のブドウ。夏のエネルギー補給にも(写真はイメージ)【写真:写真AC】
旬のブドウ。夏のエネルギー補給にも(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 世界中で親しまれている果物のひとつ、ブドウ。ヨーロッパでは「畑のミルク」と呼ばれるほど、栄養が豊富です。日本では、盛夏から秋にかけてさまざまな種類が店頭に並びますが、ブドウを買ってきて保存する際に、洗ってから保存したほうが良いのか迷うことも。洗うタイミングや、おいしさを逃さないコツはあるのでしょうか。また、ブドウの栄養メリットとは? 栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

ブドウはいつ洗うもの? 保存のコツとは

 世界的に栽培の歴史が古いブドウですが、海外では主にワインの原料として作られており、生で食べることが多いのは日本ならでは。近年では、価格は高めですが、皮ごと食べられるシャインマスカットやナガノパープルなどが人気です。

 ブドウを購入したら「水洗いをしてから保存する」と聞くことがありますが、おすすめしません。ブドウはデリケートなので、水に浸けると傷みやすくなるからです。

 また、ブドウの皮に白い粉のようなものがついている場合がありますが、これは「ブルーム」または「果粉」と呼ばれるろう物質。病気や乾燥を防ぐためにブドウ自らが分泌しているものなので、そのままの状態で保存したほうがおいしさを保てます。したがって、ブドウは保存前に洗うのではなく、食べる直前に洗いましょう。

 冷蔵庫で保存するなら、野菜室が適しています。房のままの場合はパックから出して、ひと房ずつ乾燥しないようにキッチンペーパーで包み、再びパックに戻し保存。コンパクトに保存したい場合は実をひと粒ずつ、枝から3ミリほどのところで切り落とし、ジッパー付きの保存袋に入れてパックに戻すと良いでしょう。実を引きちぎらず、枝を残して保存するのがおいしさを長持ちさせるポイントです。冷凍保存しても良いでしょう。

ブドウの“正しい”洗い方とは

 残留農薬や汚れを取るため、ブドウは食べる前に必ず洗いましょう。房ごとであれば、水を入れたボウルに流水しながら、ブドウを軽くゆすって洗います。または、ボウルの中にブドウを入れて、静かに水道水を流したまま2~3分程度おいて洗うと良いでしょう。

 とくに皮ごと食べるブドウは、丁寧に洗うことをおすすめします。食器洗い洗剤には野菜や果実洗いが可能なものがあるので、水を張ったボウルに数滴入れて軽くゆすり洗いもしましょう。洗剤の用途欄は必ず確認してください。

 洗ったあとは、ザルにあげて水を切り、キッチンペーパーで軽く押さえて水分を取ります。

皮にも栄養があるブドウ 暑い時期の疲労回復に

 ブドウというと、ポリフェノールを連想する人は多いでしょう。アントシアニンやレスベラトロールなど、抗酸化作用が高いポリフェノールが含まれますが、これらはブドウの実ではなく皮に多く含まれています。

 ポリフェノールの栄養メリットをとりたい場合は、皮ごと食べられる品種であれば、皮も一緒に食べたほうが良いでしょう。皮を食べない品種のものは、皮の消化が良くないため、そのまま食べることはおすすめしません。ミキサーにかけてジュースにすると、皮も種も、ブドウの栄養を丸ごとおいしく摂取できます。

 果糖やブドウ糖などの糖質が主成分のブドウは、暑さでバテやすい時期の疲労回復や、手軽なエネルギー補給に良い食品です。糖質は、素早く吸収されエネルギーに変換されます。汗をかく運動の前後や、運動中にブドウを上手に取り入れてみるのも良いでしょう。

 ただし、食べすぎると糖分やエネルギー過多になるので、注意が必要です。大粒であれば1日10粒を超えない量を目安に、旬の味を楽しみましょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾