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月見に団子を食べるのはなぜ? 供える理由とは 意外に知らない中秋の名月にまつわる豆知識
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2024年の中秋の名月は9月17日(火)です。中秋の名月とは旧暦8月15日(十五夜)に見える月をいい、月を愛でる「月見」の風習が古くから伝わっています。お月見といえば月見団子をイメージしますが、なぜ供え、食べるのでしょうか? いまさら聞けない、月見団子の由来や月見の風習についてお伝えします。
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団子を盗み食いする「お月見泥棒」
月見は中国から伝わり、平安時代の貴族たちの間では、美しい名月を鑑賞しながら詩歌を詠む優雅な宴が催されたといわれています。娯楽として楽しまれてきましたが、江戸時代になって庶民に広がっていくと、月に秋の実りを感謝する風習に変わっていきました。一年で最も月が美しく見える秋の夜に、単に月を愛でるだけではなく、収穫物を供えたのです。
お供えする食べ物としては、その時期に収穫される里芋が一般的だったことから、中秋の名月は「芋名月」とも呼ばれます。その他のお供えものは、その土地によって収穫できる農作物が異なるので、地域性がありさまざまです。
月見の時期がちょうど米の収穫時期と重なっていたことから、米の粉で満月に見立てた団子を作り、供えるようになりました。米が無事に収穫できたことに感謝しながら、次の年の豊作を祈願したとされています。
意外に知られていませんが、昔は「お月見泥棒」という風習が全国各地にありました。泥棒といっても、本当の泥棒ではありません。各家庭の軒先や縁側にあらかじめ月見団子を用意し、それを子どもたちが盗み食いするものです。団子は多く盗まれたほうが縁起が良いとされました。現代になり、安全面などの問題でほとんどの地域で行われなくなりましたが、一部の地域では今も行われているようです。
月見団子は地域で形に違いがある
月見団子というと、白くて小さく丸めた団子のイメージがありますが、地域によってさまざまです。たとえば、中央をくぼませたへそのような形をした団子、里芋をイメージして先をとがらせた団子、さらにあんを巻きつけた団子、色がついた団子など。まん丸の球状にした白い団子は、亡くなった方の枕元に供える「枕団子」に通じるということで避ける地域もあります。
白くて小さな丸い団子は、十五夜にちなんで15個を3段で盛りつけるのが作法といわれています。1段目に9個(3×3)、2段目に4個(2×2)、3段目に2個です。ピラミッドのような山の形に団子を盛りつける理由については、諸説ありますが、一番高い団子が霊界に通じるアンテナのように考えられてきたからといわれています。
団子が15個なくても、山のように積み上げる場所がなくても、月見団子を買って帰ってきてすぐに食べるのはNGです。もともとは月に感謝の気持ちを込めて供えるものとされているため、まずは月が見える場所に置きましょう。
中秋の名月は必ずしも満月ではない
中秋の名月は満月だと誤解されやすいのですが、必ずしも満月とは限りません。旧暦8月15日(十五夜)の月を指すので、満月と一致しないことがあります。2024年の中秋の名月は9月17日ですが、満月は翌日の9月18日(水)です。お天気が気になりますが、2夜続けて、団子をおともに夜空を楽しんでみてはいかがでしょうか。
また、「後の月」と呼ばれる10月の十三夜の月見も忘れずにいたいところ。十三夜は旧暦の9月13日の月を愛でる日本独自の風習で、2024年は10月15日(火)です。少し欠けた月の美しさを楽しみましょう。十五夜も十三夜も愛でると「二夜の月」と呼ばれ、縁起が良いといわれています。名月からパワーをもらいたいですね。
(鶴丸 和子)