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「地域に愛されているのを実感」 鹿児島県で外国人労働者の受け入れ支援をする女性 事業を始めた理由とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

受け入れ後は生活の仕方から法律、仕事まで手厚くサポート

自転車に乗ってスーパーマーケットへ行く練習も【写真提供:宮之原明子】
自転車に乗ってスーパーマーケットへ行く練習も【写真提供:宮之原明子】

 宮之原さんたちは実習生たちを迎えると、まず日本での生活を一から十まで教えます。住民票の取得や銀行口座の開設といった事務的なことから、ゴミの分別の仕方、お金のおろし方、自転車に乗ってスーパーマーケットへ行きどのように買い物をするかまで、必要なことは最初にすべて付き添って伝えます。

 また、畑に生えているものを勝手に取って食べてはいけないこと、赤信号は止まることなど、トラブルや危険を回避するための日本の法律や文化も、事細かにレクチャーしています。

 実習生たちが暮らす住まいは、アパートや一軒家などさまざまですが、一緒に自炊の練習をし、日本到着の翌日には職場へ一緒に向かいます。慣れない日本での生活にできるだけスムーズに慣れてもらうために、サポートをしていますが、それでも地元の人とトラブルになったことも。そのときはすぐに駆けつけ、次の実習生たちが同じことにならないようにマニュアル化していきました。

 もちろん職場で実習生が困っている場合は、企業側に歩み寄るよう助言することもあります。日本語のマニュアルしかなかった会社には、彼らの言葉で手順書や写真、動画を作ることをお願いしたことも。

「やはり、なかには外国の人を対等に見ていない企業もありました。でも、外国人労働者だって人間関係がいい職場のほうがいいに決まっています。とくに、特定技能を持つ子は1年で転職は自由だから、『人対人』『日本人と一緒ですよ』とよく言っていました。今ではよりいい職場環境にしようという企業さんが増えていて、とてもうれしいです」

地域のおじいちゃん、おばあちゃんたちからの愛

自炊をする技能実習生【写真提供:宮之原明子】
自炊をする技能実習生【写真提供:宮之原明子】

 外国人労働者を地方が受け入れるのは、多くのメリットがあると宮之原さんはいいます。

「地方に行くほど人手不足なので、確実な即戦力になります。彼らは若いから体力もある。それに、受け入れたいと思ったら、特別な理由がない限り手続きを済ませて6か月ほどで日本へ来るので、企業側からすると予定が経つというメリットもありますね。また、日本人と結婚し、人口が増えて地域が元気になるという側面もあります。若くて元気な子たちが増えて、地域活性化につながっています」

 最近は、ベトナム人の技能実習生に代わり、インドネシアからの特定技能生の受け入れが主流になっています。宮之原さんたちは、彼らにより地元になじんでもらうため、浴衣を約30着用意して地元のお祭りに参加してもらったり、誕生日会用の部屋の飾りつけや身につけグッズをそろえたりしています。日本での生活がより彩りのあるものになるよう日々、工夫を凝らしているそうです。

「素直でかわいいから、彼らはおじいちゃん、おばあちゃんにとてもかわいがられるんですよ。飲み会や花見、バーベキューといった行事には、みんな大喜びで参加してくれます。地域に愛されているのを実感しますね」

 外国人労働者を取り巻く課題はまだまだありますが、労働人口の減少が今後もさらに深刻化していくことは避けられません。異文化を持つ外国人労働者たちとどのように共生し、地方創生していくべきか、宮之原さんたちは未来を見据え真剣に取り組んでいます。

(Hint-Pot編集部)