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「作ってくれた人に対して失礼な気が」 イギリスの食生活で日本人女性が戸惑い 時間が経つにつれ慣れたこととは
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夜ごはんはレディミールを活用
そして、夜ごはんの基本は、メインとなる一品料理をみんなで取り分けるスタイル。メイン料理によっては、ゆでたスプラウト(芽キャベツ)やブロッコリー、ニンジンなどの野菜やライスが、副菜として用意されていることもありました。
日本で、一汁三菜を意識した健康的な食生活を送っていたわけでは、決してありません。しかし、やはり最初は「なるほど、これで完結なのね」と、そのシンプルさに驚きました。学生時代、家庭科であれだけ口酸っぱく言われた日本の「一汁三菜」とはほど遠いスタイルです。
さらに驚いたのは、オーブン料理や鍋物などのメイン料理に「今日はレディミールや缶詰を使っているんだ」と言われることがよくあったこと。
自分で生活するようになってあとからわかりましたが、イギリスでは電子レンジで加熱するだけ、オーブンに入れて焼くだけといった調理済み加工食品のバラエティが豊かです。見た目だけではなかなかわかりませんし、味も手作りと遜色ありません。現役で働いていたホストのことを考えると、やはり時短の意味でも便利だったのだと思います。
また、料理と一緒に食卓に並ぶのはおなじみのソルト&ペッパーやタバスコ、マヨネーズにケチャップなどの調味料。そう、料理自体は基本的に薄味で、足りないなと感じたら自由に自分で味づけしていいのです。
日本にいたこれまでの感覚だと、すでに完成された料理にむやみやたらと調味料をかけてしまうのは、作ってくれた人に対して失礼な気がしていました。ところが、イギリスでは完全フリースタイル。最初はどぎまぎしていましたが、時間が経つにつれ堂々と使えるようになりました。
このホストはこれまでもアジア系の生徒を受け入れていたことがあったため、私用に韓国料理のコチュジャンを別に用意してくれたり、ライスに合う料理を作ってくれたりしたこともあります。そうした心遣いも、ありがたいポイントでした。
友人のなかには、料理好きなベジタリアンのホームステイ先を割り当てられた子も。いろいろなおいしいレシピがあってすごい! と喜んでいたのもつかの間、やはりこれまでの食生活との差が大きく、調子が悪くなってしまいました。
私のホストが比較的いろいろな種類の食事を提供してくれたこともあり、行くまでになんとなく不安だった「イギリスのごはんってどうなんだろう」という先入観はいい意味で変わりました。
もちろん、日本の豊かなグルメや種類の豊富さを引き合いに出してしまうと、物足りないと思うのも事実です。自分の慣れ親しんだ味やファンシーな食べ物、アジア料理などが恋しくなったときは、ランチで試してみたり、友達と出かけて外食する機会をあえて作ってみたりする努力は必要かもしれません。
(Moyo)
Moyo(モヨ)
新卒採用で日本の出版社に入社するも、心身ともに疲弊し20代後半にノープランで退職。それまでの海外経験は数度の旅行程度だったが、イギリスへ語学留学ののち移住した。そのまま、あれよあれよと7年の月日が経ち、現在はフランスに在住。ライター、エディター、翻訳家、コンサルタントとして活動している。最近ようやくチーズのおいしさに少し目覚める。