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カボチャのワタや種は食べられる? 栄養士が説明する捨てたら損とされる豊富な栄養成分とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

半分にカットしたカボチャ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
半分にカットしたカボチャ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 もうすぐハロウィン。カボチャをくり抜いた「ジャック・オー・ランタン」の影響もあって、カボチャを食べることが増える季節でもあります。調理をする際、下準備で種と一緒にふわふわしたワタの部分も取り除きますが、このカボチャのワタは食べても良いものなのでしょうか。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

カボチャは秋から冬にかけて甘みが増す

 冬至に食べる習慣があることから、カボチャには冬のイメージがありますが、収穫時期は夏から初秋にかけてです。収穫してすぐのカボチャは甘味がなく、甘さを増すために1~3か月間、冷暗保存されます。秋から冬にかけて食べ頃なので、ハロウィンの季節は、ちょうど甘くおいしいカボチャが出回る時期です。

 カボチャには、水分が多くねっとりとした食感の「日本カボチャ」、ホクホクして甘味のある「西洋カボチャ」などがあります。店頭でよく見かけるカボチャの主流は、西洋カボチャです。煮ても、焼いてもおいしく、スープやスイーツにするなどさまざまな料理にアレンジできます。

 その栄養価は高く、とくに体内で必要時にビタミンAに変わり、皮膚や粘膜を強くして免疫機能をサポートする働きがあるβカロテンが多いのが特徴です。このほか、コラーゲンの生成を助け美肌に欠かせないビタミンC、老化を防ぎ「若返りのビタミン」といわれるビタミンEも豊富で、抗酸化作用の相乗効果が期待されます。食物繊維、ミネラルもバランス良く含まれる緑黄色野菜のひとつです。

栄養満点で捨てるところがない「エコな野菜」

 カボチャは、栄養満点で捨てるところがない「エコな野菜」ともいわれています。調理する際にワタや種を捨てている方もいるでしょう。実は、ワタや種も食べられます。栄養面からいうと、果肉部分よりもメリットが多いです。

 ワタは、果肉よりも食物繊維が約5倍、βカロテンも約2倍多く含まれるといわれています。カルシウムの吸収を助け、骨を丈夫にする働きのあるビタミンKも豊富です。甘味が強い部分なので、果肉部分と一緒に調理すると、カボチャの風味がより増します。繊維質な食感が残って苦手な場合は、ミキサーなどを使ってスープに用いても良いでしょう。

 ワタは傷みやすく、カビも生えやすいので、カットしてあるカボチャを購入した際はすぐに使いましょう。ワタは大きめのスプーンでこそげるようにして取り、種と取り分けます。

栄養価が高いワタも種も丸ごと食べる

 種は別名「パンプキンシード」と呼ばれ、栄養価の高い食品でもあります。コレステロール値の低下などが期待できる不飽和脂肪酸やたんぱく質、ミネラルが豊富です。カボチャの種は漢方で「南瓜仁」として、体内の寄生虫を排出する効果や、血圧を下げる効果がある生薬として古くから利用されてきました。

 少し手間ですが、取った種は水洗いしたあとに天日干しします。素揚げすると香ばしく、塩を振っておいしく食べられます。

 フライパンでから炒りすると、種が弾けて、周りの硬い部分を取り除くことができます。硬い部分が残っていたら、キッチンバサミなどを使って中身を取り出すと良いでしょう。

 カボチャがおいしい季節。ワタごと種も丸ごと捨てずに食べて、栄養メリットを得たいですね。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾