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長芋は皮ごと食べられる? 栄養を逃さないコツとは 管理栄養士に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:藤田 えみこ

みずみずしい長芋(写真はイメージ)【写真:写真AC】
みずみずしい長芋(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 長芋がおいしい季節です。とくに晩秋は「秋掘り」といわれる新物が店頭に並び、みずみずしい味わいを楽しめます。長芋を調理する際、ぬるぬると滑るので、皮をむくのに手間取ることがあります。そのまま皮ごと食べても問題ないのでしょうか? 長芋の栄養メリットや栄養を逃さない食べ方などについて、管理栄養士の藤田えみこさんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

長芋を皮付きで食べるメリット

 長芋は皮ごと食べられます。皮は実より栄養価が高く、多くの食物繊維とポリフェノールが含まれている部分です。食物繊維は腸内環境を整えて便秘の解消に役立ち、ポリフェノールは細胞の酸化を防ぎ、老化の遅延や病気の予防が期待されています。

 皮ごと食べる際は、しっかりと洗って汚れや泥を落とすことが大切です。ヒゲの部分は硬い食感なので、ガスコンロやバーナーを使って軽くあぶるか、包丁やピーラーなどで軽くこすると、取り除くことができます。農薬が気になる場合、食品用の重曹水やクエン酸水で洗浄し、最後に清潔な水ですすいでください。

 皮付きのまま調理することで、手がかゆくなるリスクも軽減できます。長芋を調理して手がかゆくなる原因は、皮の近くの白い部分に含まれているシュウ酸カルシウムです。針状結晶の成分で、食べるときは影響しないのですが、皮膚に触れるとかゆみが発生します。皮ごと調理すれば、白い部分に直接触る機会が減るので、かゆくなる不快さも解消されるでしょう。

 皮付きのままで長芋を食べると、皮の香ばしさも楽しめます。さらに食材の無駄を防ぐこともできるので、食品ロスの削減にもつながるでしょう。

生食と加熱 どちらが良い?

 長芋は「山うなぎ」と呼ばれ、スタミナがつく食べ物として、昔から食卓で親しまれてきました。現代の栄養学から見ても、健康にうれしい栄養成分がたくさん含まれています。

 代表的なものとしては、前述した腸内環境を整える食物繊維のほか、ジアスターゼなどの酵素が含まれており、消化を助けて胃腸の働きを整えます。また、疲労回復や糖質の代謝を促進するビタミンB1、むくみを予防し血圧をコントロールするカリウムも豊富です。

 一般的にイモ類の生食はできませんが、長芋はでんぷん分解酵素のアミラーゼを含んでいることから、生でも食べられるのが特徴です。加熱すると、長芋に含まれるジアスターゼなどの酵素やビタミンB群が損失してしまいます。栄養を逃さず摂取したい場合は、皮付きのまま生で食べるのが良いといえるでしょう。

 一方、加熱することで食物繊維がやわらかくなり、消化しやすくなります。胃腸の弱い方は、加熱して食べるのがおすすめです。

長芋と合わせたい食材とは

 長芋と相性の良い食品に挙げられるのは、納豆です。長芋のアミラーゼが納豆のビタミンB群の吸収を助けるため、効率良く栄養がとれます。ちなみに、長芋と組み合わせることで味の癖が少なくなり、納豆が苦手な方でも食べやすくなりますよ。

 また、カツオ節をプラスすると、旨味成分が加わってよりおいしくなり、たんぱく質やミネラルの補完効果も期待できます。たとえば、千切りにした長芋を納豆と和え、カツオ節としょうゆをかけると、栄養も旨味もアップ。ほかにも、バターを引いたフライパンで長芋の両面を焼き、カツオ節や青海苔をトッピングすると、栄養たっぷりでおいしいですよ。

 長芋は、太くて重量があり、表面がでこぼこしていないものを選びましょう。また、皮にハリがあって、傷がないものがおいしいといわれています。

 保存するときは、丸ごとポリ袋に入れ、軽く口を閉じて冷蔵庫の野菜室へ。乾燥に注意してください。使い残した場合は、切り口をラップでぴっちりと包んで冷蔵保存します。旬の栄養とおいしさを、存分にとりたいですね。

(Hint-Pot編集部)

藤田 えみこ(ふじた・えみこ)

管理栄養士。女子栄養大学卒業後、教育や医療・介護の現場の献立開発に携わる。結婚後、地元山口県へUターン移住。出産・育児を経て、栄養と献立を伝える現場へ転職。コロナ禍をきっかけにオンラインにて料理講師としての活動をスタート。痩せにくい世代へのダイエットメニュー、災害時に役立つ防災食講座などが人気。健やかな体作りのために、栄養や調理など食の知恵を発信する。2児の母。
インスタグラム:jitan.eiyo