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カブを大根のようにコトコト煮るのはNG 煮崩れしやすい理由を栄養士に聞いた
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:和漢 歩実
カブというと、白い球型の小カブが一般的です。これから旬を迎えますが、煮物にすると崩れしやすく、ドロドロになってしまったという経験がある人もいるでしょう。なぜ、カブは煮崩れしやすいのでしょうか。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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細胞膜が薄いカブ 味をしみ込ませるには?
多くの野菜には、ペクチンという食物繊維が含まれています。これらは、細胞壁同士をくっつける役割をしているのですが、加熱すると溶け出し細胞壁同士のつながりが弱くなりやわらかくなります。カブが煮崩れしやすいのは、構造的に細胞膜が薄いためと言われています。そのためペクチンが溶け出しやすく、煮崩れしやすいのです。
カブの煮物を作る際に、大根のようにコトコト長時間煮て味をしみ込ませようとすると、形が崩れてしまいます。味をしっかりとしみ込ませたいときは、切ったカブを鍋に入れ、かぶるくらいの水を注いで火にかけて、下ゆでしましょう。
煮立って3分ほど経ったら、ザルに上げ、それから煮ます。長時間煮込まず、加熱時間を短めにすると形が崩れにくくなります。
カブの煮崩れを防ぐコツとは
そのほか、煮崩れを防ぐ方法としては、次のようなコツがあります。
○大きめに切って面取りする
カブを大きめに切ることで、崩れにくくなります。小さく切るとその分、細胞が壊れやすくなるため、可能であれば大きめのまま調理するのがおすすめです。さらに、角をなくすことで鍋や食材同士のぶつかりの衝撃を抑えます。切り分けてから面取りをしましょう。
○火加減を弱めにする
強火で急激に加熱すると細胞が壊れやすくなるため、沸騰させずに、軽く煮立つ程度の火加減で煮るのがポイントです。
○酒や本みりんを使う
酒や本みりんのアルコールは、ペクチンを溶け出しにくくするため、煮崩れしづらくなります。調味料の一番初めに入れると良いでしょう。
カブの栄養を逃さずいただくなら煮るよりも生?
日本でのカブの栽培の歴史は古く、「日本書紀」にその記述が残っています。1月7日に食べる七草粥では、春の七草「スズナ」として知られる根菜で、昔からその栄養の高さが注目されていました。
カブの代表的な栄養成分としては、カリウムやビタミンC、食物繊維、デンプンを分解する消化酵素のジアスターゼなどが挙げられます。ただし、カリウムやビタミンCは水に溶けやすく、消化酵素ジアスターゼは熱に弱い特徴があります。
煮物もおいしいですが、カブの栄養メリットを逃さず効率的にいただくのであれば、生で食べるほうが良いでしょう。よく洗って、すりおろすと、大根おろしよりも辛味が少なく、食べやすいです。
カブの葉にはβカロテンがたっぷり
また、カブの葉は、栄養が豊富なことで知られています。普段食べる白い部分にはないβカロテンが豊富です。βカロテンは必要時に体内でビタミンAに変わり、皮膚や鼻、目などの粘膜を強化し、免疫機能を維持することが期待されています。風邪が気になる季節に役立つ栄養素です。
βカロテンは油と一緒にとると吸収率が高まるといわれているので、カブの葉を適度な長さにカットして、炒めものやお浸しにしても良いでしょう。いつもの調味料に、ゴマ油をさっとかけていただくと、いろどり良く、栄養価もアップします。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾