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コース料理のパンはいきなり食べてもいい? 正しいタイミングは 今さら聞けないテーブルマナー
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教えてくれた人:和漢 歩実
クリスマスシーズンが近づき、西洋料理のコースを食べる機会が増える時期です。スマートに食事をするためにも、マナーはきちんと押さえておきたいところ。今回は、迷いがちなパンを食べるタイミングです。注文後、すぐに運ばれてくることがありますが、パンだけを食べて良いものか迷うこともあるでしょう。どのタイミングで食べたら良いのか、決まりはあるのでしょうか。また、パンを食べる際に気をつけるべきことは? いまさら聞けない西洋料理のマナーについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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パンを食べ始めて良いタイミングとは?
西洋料理のコースでは、注文するとすぐにパンが提供されます。まだ料理が出ていない段階で、パンから食べ始めて良いのか迷うこともあると思いますが、パンを食べるのは「スープが出されたあと」とするのが一般的なマナーです。
コース料理におけるパンの役割は、それぞれの料理をおいしく味わうためのものです。パンが先に出てきたからといって、急いで食べ始めるのはスマートではありません。最初からパンをたくさん食べて満腹になってしまい、あとのメイン料理を残してしまうことがないように気をつけましょう。
パンはメイン料理のお皿と一緒に下げられるので、メイン料理が終わるまでには食べ切るようにしてださい。
丸ごとかぶりつくのはNG パンはちぎって食べるのが鉄則
パンは、直接かぶりつくなどせず、ひとくちサイズに手でちぎって食べるようにしましょう。ナイフでパンをカットするのはNGです。
パンに塗るバターは、共通で使うように、テーブル中央にバタークーラー(バター入れ)などが置かれている場合があります。周囲に声をかけて、バタークーラーから共用のバターナイフで適量を取って、自分のパン皿の端に置きましょう。取ったら、隣の人に回すとスムーズです。
バターをパンに塗るときは、自分のバターナイフを使います。もしバターナイフがなければ、料理用のナイフを使ってパンに塗ってかまいません。パンの全面にバターを塗るのは行儀が悪いといわれています。都度ちぎってから、塗って食べましょう。
テーブルクロスにパンくずが落ちても問題ありません。つい、パンくずを集めたり、払ったりしたくなるのですが、自分では触らず、そのままにしておくのがマナーです。デザート前にスタッフ(接客係)が片づけてくれますので、任せましょう。
料理のソースはパンにつけて良いもの?
料理のソースをパンにつけて食べたくなりますが、結婚式などのフォーマルな場ではマナー違反になるので注意しましょう。
親しい友人同士の食事会、またはカジュアルな席であれば許されると思います。その場合、ひとくちサイズにちぎったパンをお皿に落として、ナイフとフォークを使い、パンにソースをからめて口に運ぶとスマートです。
テーブルマナーの基本は周囲への配慮
パンの食べ方やタイミングには、厳格なルールを守るというより、場の雰囲気に合わせた周囲への気遣いが求められるといえます。カジュアルな場ではそれほど気にしなくてもかまいませんが、フォーマルな場では気を配ること。食べ方やタイミングに迷った場合は、ホストや周囲の様子を参考にするのも良いでしょう。
テーブルマナーの基本は、周囲への配慮にあります。自分だけでなく、一緒に食事をする人の心地良さを考え、楽しい時間を共有することがマナーの本質です。形式にとらわれすぎず、リラックスして食事を楽しみましょう。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾