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「リバースモーゲージ」はお得なのか 向いている人はいる? 税理士が解説
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生きている間は高い金利を払い続ける必要が
こんな話を聞いたら「すごくいい制度じゃない!」と思ってしまいますよね。実際、美保さんのお母さんも「美保もお姉ちゃんも結婚して自分の家を持っているから、この家はいらないでしょ。生前に自宅を売ることなくお金を貸してもらえて、返すのは亡くなったあとなんて、とてもいい話よね」と喜んでいるといいます。
ですが、お金を貸してくれる銀行も商売ですから、そうそういいことばかりではないのです。利用するにあたり、知っておきたいデメリットももちろんあります。
まず、「リバースモーゲージ」の金利は高いです。各銀行の金利を見ても概ね3%前後。住宅ローンの金利の0.3%~1.5%程度と比べてもとても高い。しかも、この金利は変動金利ですから、情勢によってはこれより上がる可能性もあります。
仮に2000万円を年3%の金利で借りた場合、利息は年間60万円です。そして利息は、借りている間、原則ずっと払い続けます。仮に、今70歳のお母さんが90歳まで借り続けた場合は1200万円、95歳まで借り続けた場合は1500万円もの利息を払うことになるのです!
しかも、元金は1円も減っていませんから、亡くなったら家を売って元金の2000万円を返さなければなりません。
ちなみに、「リバースモーゲージ」で借りられる金額は家の評価額の5~6割程度で、銀行によって異なります。亡くなったあとに、借りていた金額よりも家が高く売れた場合、差額は原則、相続人に払われますが、売った金額が借入金よりも少ない場合は、相続人が足りない分を返済することも(契約によって内容は変わります)。
このように相続人を巻き込むことになるため、「リバースモーゲージ」を契約するには、推定相続人全員の同意が必要となるのです。
売った自宅を借りて住み続ける「リースバック」にも注意
マンションや価値の高くない自宅だと、「リバースモーゲージ」自体が使えないこともあります。やはり、銀行が損をしないような仕組みになっていると言わざるを得ません。
「リバースモーゲージ」に向いているのは、次のような人でしょう。
・自分の死後、家を相続する人がいない人
・お金はないが、どうしても今の家に住み続けたい人
また、最近CMでよく見る「リースバック」も要注意です。これは自宅を売って、売った自宅を借りて住み続ける仕組みになっています。
「家を売却することで大きなお金を手に入れ、住み慣れた家を借りて住める」というのが売りのようです。ところが、「相場より安い売却額、相場より高い家賃」が設定されているケースが多いといわれています。
自宅に特別な思い入れがあれば別ですが、老後資金を確保するために家を売却するなら、より高く売ってより安い賃料のところに引っ越すべきです。
「うまい話はない」ということですね。
(板倉 京)