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相続税をなるべく払いたくないのですが、生前贈与やタンス預金はバレますか? 税理士が回答
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家族に少しでも多くのお金を残してあげたい。相続税をなるべく払いたくないと考えている人は少なくないでしょう。しかし、誤った知識で安易に財産を隠したり、タンス預金をしたりすると、大きな損をすることも。豊富な実務経験がある税理士でマネージャーナリストの板倉京さんが解説します。
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「税務署の調査能力を侮ってはいけません」
今回の相談者は、水本太郎さん(72歳・仮名)。事務所に入ってくるなり、とんでもない質問をし始めました。
「相続税なんて払いたくないんだよ。タンス預金や、子や孫への贈与なんて、申告しなくても税務署にバレないよね」
実は、こういった質問を受けることはままあります。これは脱税しようと考えているということですよね。
この手の相談を受けたとき、お手伝いをお断りするのはもちろんですが、「税務署の調査能力を侮ってはいけません」とお答えします。
国は個人の財産についてあらゆる情報を把握できる
みなさんはKSKシステム(国税総合管理システム)について聞いたことはありますか? 国はこのシステムを使って、国民の稼ぎや財産を把握しています。
「え? そんなことできるの?」と思うかもしれませんが、給与の源泉徴収票、確定申告で個人の所得は把握できます。それに、銀行や証券会社、生命保険会社からの支払調書、不動産の登記情報など、国はあらゆる情報を把握できる立場にあるのです。
このように、さまざまな情報をもとに、税務署は「高額な給料をもらっていた人」や「事業や資産運用等で稼いでいた人」「相続で財産をもらった人」など、多くの財産を持っているであろう人を把握しているのです。
そして、そういった人が亡くなれば「これだけ稼いでいた人なら、○億円くらいの相続財産があるのではないか」と想定します。そして、相続税の申告が必要な人には、以前紹介した「相続税についてのお知らせ」あるいは「相続税の申告等についてのご案内」を送ってくるわけです。