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初めての胎動は金メダル獲得の瞬間 元バレーボール選手が40歳の新たなライフステージで描く夢とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・砂坂 美紀

食と栄養に関するこだわり

米粉のピザはバーナーであぶって仕上げている【写真提供:栗原恵】
米粉のピザはバーナーであぶって仕上げている【写真提供:栗原恵】

 20代の頃は、みなさんが理想としている「バレーボールチームのエース」というものを自分の中で考えて、ガチガチになっていました。「ストイックで寡黙な“栗原恵”像」を望んでいるのではないかと、勝手に思っていたんです。

 考え方が変わるターニングポイントになったのは、2012年のロンドン五輪前、日本代表に落選したことです。日本代表ではなかったら「自分にはなんの価値も残らない」ってずっと思っていましたが、そこから離れることで、背負っていたものも一緒に落ちた感覚がありました。張り詰めていた気持ちが、一気に吹っ切れましたね。

 今振り返ると、自分にしかできないプレーや役割も絶対にあったはずです。でも、以前は「戦いだから勝たなきゃダメでしょ」と思っていて、バレーボールを「楽しんではいけない」と考えていたのです。「楽しむ」という本当の意味に気づけたのは、引退する1~2年前でした。

 今では、いろいろなことを楽しみ、新しいことにも挑戦しています。選手の頃から、体作りには「食事が一番大事」だとずっと思っていました。なので、管理栄養士の方とお話をする機会を多く作って、いろいろな話を聞かせてもらっていました。引退して、食や栄養の勉強をしていくつか資格も取りました。

 お料理は好きで、お菓子作りも子どものときからよくしていました。今は、父親が地元で野菜を育てているので、旬のいろんな種類をたくさん送ってきてくれます。「“父が大切に育てた”野菜をとにかく無駄にしたくない」と、必死に作っています。

 知識が入ると、自分の体で試したくなってしまいますね。今は自分が妊娠しているので、体の状態によって合う食材やハーブを取り入れたりして。

 これから産後に体の変化があって、それを戻すために役立ってきそうだなと、ちょっとワクワクしています。それをまた自分の体で実践して、誰かにシェアしたりもできるかなと楽しみにしています。

数年前から続けているピラティスは本格的【写真提供:栗原恵】
数年前から続けているピラティスは本格的【写真提供:栗原恵】

 さらに、妊娠中も適度な運動を続けていました。今はマシンを使ったピラティスをやっていて、いつか資格を取りたいです。栄養の学びをもっと深めて、“女性の体作り”をトータルでサポートできたらいいなという夢を描いています。

 これから自分が生活をしていくなかで、そういう選択肢もあってもいいかなっていう、夢のひとつですね。

◇栗原恵(くりはら・めぐみ)
1984年7月31日、広島県佐伯郡能美町(現・江田島市)生まれ。両親の影響で小学4年生からバレーボールを始め、中学2年生で兵庫県姫路市の中学校へバレー留学。強豪校・三田尻女子高校(現・誠英高校)在学中、全日本代表に選ばれる。「プリンセス・メグ」として親しまれ、人気・実力を兼ね備えたエースとして活躍。2004年のアテネ五輪で5位、2008年の北京五輪で5位に入賞し、日本バレー界に貢献した。2019年の引退後は解説者、スポーツコメンテーターとして活動中。

(Hint-Pot編集部・砂坂 美紀)