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実家の片づけで意外に捨てにくくて困ったもの3選 整理収納アドバイザーが解説
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:伊藤 まき
親が元気なうちは手を出すのがはばかられたり、遠方だからとつい後回しにしたりしてしまう「実家の片づけ」。しかし、「できるだけ早く、自分たちも若く体力があるうちに終わらせることを目指すべきです」と整理収納アドバイザー・伊藤まきさんは語ります。今回は、伊藤さん自身が実家の片づけを行った際、とくに大変だったものの処分方法をご紹介。片づけにおいて厄介だったのは、意外なものでした。
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思い入れのある人形やお守りは処分に注意
1. 人形
人形やぬいぐるみは、サイズが小さめ(30センチ程度くらいまで)であれば、だいたいの自治体で通常の燃えるゴミとして処分できます。捨てる際、ゴミ袋にそのまま入れてしまうと、小さな子どもがそれを見てショックを受けてしまうことも。できれば紙袋などに入れ、何が捨てられているのかわからないようにするといいでしょう。
30センチ以上のサイズは、粗大ゴミとして収集される場合もあります。わからないときはお住まいの自治体の規則を調べるか、問い合わせをしましょう。
なお、箱にしまったままの新品の人形類は、児童養護施設などに寄付をすることもできます。この場合も、お住まいの自治体に問い合わせ、寄付が可能な施設を紹介してもらうといいでしょう。
保存状態がいいものは、リサイクルショップやフリマアプリなどで売買するのもおすすめ。とくに、作家物の日本人形やビスクドール、こけしなどはコレクターズアイテムでもあるので、専門業者が喜んで買い取ってくれることも。
これまで愛着を持って接していた人形は、手放しにくいこともありますよね。ゴミとして捨てたり、処分したりするのが忍びない場合は、有料にはなりますが「人形供養」をしているお寺や神社があるので、そちらに持ち込みましょう。
2. 仏具・神具
通常の家具類と違い、処分が大変なものに仏壇や神棚があります。大変な理由は、こうした信仰の対象になっているものには魂が宿るとされ、勝手に移動したり処分したりするのは不敬にあたるとされているからです。
大きな仏壇を置くことが、その家の格を表すとされた時代もあったため、タンスより大きな仏壇が置いてあることも。しかし、代替わりした際に仏壇をそのまま引き受けることができず、処分する人が増えています。
仏壇じまいをする際は、菩提寺に処分の相談を。通常の場合、家までお坊さんに足を運んでもらい、仏壇の魂抜き(「閉眼供養(へいげんくよう)」や「お性根抜き(おしょうねぬき)」とも呼ばれます)をしましょう。宗派や仏壇の大きさにもよりますが、お布施やお供えものを含め、1万円~5万円程度で行うことができます。
神棚は、同様に神主さんにお願いして、足を運んでもらって魂抜きをします。コンパクトなものであれば、神社に神棚を持参し、お焚き上げをしてもらうといいでしょう。こちらも、金額は5000円~5万円程度。処分方法(魂抜きだけなのか、お焚き上げもするのか)で金額が変わりますので、あらかじめ相談を。
なお、仏壇や神棚を買い替える場合は、販売業者が古いものを回収してくれることがありますので、確認してみてください。
仏壇以外の仏具や神具について、私は分別ゴミとして処分しました。気になる人は、仏壇と一緒にお祓いしてもらうといいでしょう。
3. お守り、お札
小さなものですが、仏具・神具と同様に捨てることがためらわれるものに、お守りやお札があります。
授けてもらった神社やお寺に直接返しに行くのが一般的で、多くの神社・お寺には、古いお守りなどを納める場所が設けられています。お賽銭やお布施を備え、お礼の気持ちを伝えながらお返ししましょう。
また、お正月やどんど焼きなどの例祭のときに、大規模なお焚き上げを行う神社やお寺もあります。そうした際に持参するのもいいでしょう。
授けてもらった場所は遠いから無理……というときは、郵送を受け付けている場合があるので確認を。最寄りの神社やお寺が引き受けてくれる場合もあります。
そうしたことも難しければ、感謝を込めて半紙や懐紙などに包み、塩で清めてから、可燃ゴミまたは不燃ゴミとして処分しましょう。ただし、自宅での処分はあくまでも最後の手段と考え、神様、仏様に不敬のないようにすることをおすすめします。
(和栗 恵)
伊藤 まき(いとう・まき)
整理収納アドバイザー1級、クリンネスト2級。ホテル清掃員や国鉄系レストランの厨房、内装会社、デパートの搬入搬出などで経験を積み、出版社に入社したのち独立。掃除しながら片づける「整理収納のプロフェッショナル」として各種ウェブメディアで記事を手がけ、掃除本の編集ライターとしても活躍中。
インスタグラム:maki_organize