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お正月に飾る「松竹梅」 ランクづけに使われるようになった経緯と順番の理由とは
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お正月飾りに欠かせない植物といえば、松、竹、梅です。これら3つを合わせて「松竹梅」と呼び、単なる植物の名前を超えて、おめでたい象徴として日本では広く親しまれています。なぜ縁起が良いのでしょうか。また、商品やサービスのランクづけに使われる理由や順番に意味は? 日本古来の伝承や習わし、先人の知恵など諸説に着目するこの連載。今回は、松竹梅の由来や意味について紹介しましょう。
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中国では書画の画材だった松竹梅
もともと松、竹、梅の3つは、書画の題材でした。10~13世紀ごろの中国では、この3つを「歳寒三友(さいかんさんゆう)」と呼び、「厳しい寒い季節にも耐える三つの友」として用いるようになったのです。
日本でも、古くから書画の題材として「歳寒三友」は伝わっていましたが、庶民の間に広まっていくうちに「松」「竹」「梅」を合わせて「松竹梅」と呼ばれるように。縁起の良い植物の集まりから、めでたさを象徴する言葉にもなっていきました。
江戸時代になると松竹梅がそろって門松に
松竹梅というと、お正月の門松には欠かせない存在です。3つ揃って飾るようになったのは、江戸時代の頃です。それぞれの主な背景について説明しましょう。
○松
松は常緑樹です。厳しい環境下でも育ち、年中青々とした生命力あふれる姿が「不老長寿の象徴」として縁起の良いものとされてきました。「神を待つ」や「神を祀る」ことから、神様が地上に降りてきた際に宿る場所であると考えられ、神聖な木として大切にされてきた背景も。平安時代の頃、長寿を願ってお正月に若い松の木を引き抜く貴族の遊びがあったと伝えられ、この行事が、現代の門松のルーツだといわれています。
○竹
竹は、地下茎を張り巡らせ、そこから新芽がどんどん生えてまっすぐ伸びることから「子孫繁栄の象徴」とされてきました。門松に用いられる竹は、「そぎ」といって斜めに切られて飾られることが多いです。切断面が口を開けて笑ったように見えることから「笑い口」と呼ばれることも。室町時代には、お正月に飾られる門松に竹が添えられるようになったといわれています。
○梅
梅は、厳しい寒さに耐えてどの花よりも早く花を咲かせることから、初春の訪れを告げる花として、「喜び」や「出世」の象徴とされてきました。江戸時代になると、梅の栽培が盛んになり、縁起物として門松などお正月に欠かせない花として飾られるようになったようです。
ランクづけに松竹梅が使われる理由とは
飲食店のメニューをはじめ、3つあるサービスなどに、グレードやランクによって「松竹梅」が使われる習わしが日本ではあります。たとえば、寿司店や蕎麦店のメニュー表に、松コース、竹コース、梅コースなどと書かれていることがあるでしょう。贈答品などでも松竹梅で分けられていることがあります。
この理由は「一番安い並を注文しにくい」「特上を頼むと気取った感じになりそう」といった客側の心理に配慮したことから始まったといわれています。直接的な言葉よりも、間接的な言い回しを使うことで注文もしやすく、さらに縁起物の名であれば気分も良くなるとして表記されるようになりました。一般的には良いものから「松→竹→梅」の順番で、特上が松、上が竹、並が梅といったケースが多いです。
本来の松竹梅には、縁起が良い植物の集まりなので序列はありません。しかし、松がランクづけの上にくる理由は、縁起物となった歴史の古さ順という説が一般的です。前述の通り、松が縁起物とされるようになったのは平安時代、竹は室町時代、梅は江戸時代とみられています。古い松から順に並べた松竹梅が、そのままランクの順番となったと考えられています。
もうすぐお正月。新年を迎える準備を進めるにあたり、門松は28日までに立てるのが良いでしょう。29日は「苦立て」、31日は「一夜飾り」といって敬遠されています。松竹梅にまつわる由来や受け継がれる風習に思いを馳せつつ、良いお年をお迎えください。
(鶴丸 和子)