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高額すぎるお歳暮を送る義母 実母からやめたいと相談されるも…板挟みになった女性の悩み

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:夫婦カウンセラー・原嶋 めぐみ

母から夫の実家とのつきあい方を相談された女性の悩みとは(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
母から夫の実家とのつきあい方を相談された女性の悩みとは(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 1年間の感謝を込めて贈られるお歳暮。贈る相手によって、金額に配慮したり、アレルギーや好き嫌いを事前に確認したりと、さまざまなマナーが存在します。しかし、なかには「贈りたい気持ち」を再優先してしまう人も──。夫婦カウンセラー・原嶋めぐみさんのアドバイスとともに、婚家と実家の間に挟まれた女性の悩みをお届けします。

 ◇ ◇ ◇

わざと? 毎年高額なお歳暮が実家に届く

 お悩みを聞かせてくれたのは、埼玉県在住に恩田サチさん(仮名・30代)。友人の紹介で出会った夫と結婚して10年。義母は世話好きで優しく、サチさんとも良い関係を築いてきたそうです。ところが、ただひとつ、実母から義母にまつわる長年の悩みを打ち明けられ、困ってしまっているそうです。

 それは、義母から実家へ宛てた高額すぎるギフト類。サチさんの両親は、数年前に仕事を完全リタイアしたタイミングで、こうした贈り物のやりとりは辞退したいと義母に連絡したそうです。しかし、今でもお中元やお歳暮の季節になると、欠かさずに送られてくるそう。

「今年の夏はすごく立派な海鮮詰め合わせが、昨年末は某ブランド和牛肉の詰め合わせが贈られてきたそうです。ある年は、有名海外メーカーの高級食器だったことも。毎回、2万円以上はしそうなものが贈られてくるのですが、私の両親は『こんな高級なものをもらっても、お返しできない』とずっと悩んでいたようで、帰省したときに実母から相談されました」

 最悪、半返しで良いとはいえ、年金生活の両親にとって、5人の孫へのお年玉も捻出しなければならないこの時期に、1万円の出費は大きく響いているようです。「こんなことを娘に相談して、情けなくて申し訳ない」とうなだれる実母を見て、サチさんは心を締めつけられたといいます。

 その後、義母に対して「こうした贈り合いは、気を使い合うだけだからやめたいと父母が言っている」と訴えましたが、義母は聞く耳を持たず。結局その後も、贈り物は終わりませんでした。夫からもやめるよう説得してほしいとお願いしましたが、「贈りたがっているんだから、させておけば良いんだよ」と言われてしまい、事情をまったく理解してくれないそう。

「母には、受け取り拒否や、お返しを贈らないで良いなど対応しないように言ったのですが、娘と孫がいるのにそんな不義理なことはできないと言われてしまって……。子どもがいる以上、簡単に離婚を口に出すのははばかられますが、義母も夫も、嫌だと言っているのに押しつけていることに気がついておらず『ないわ~』って思っちゃいました。こんなことで離婚を考えるのは、おかしいですか?」

懐事情をはっきりと伝え、断ることも大切

 離婚するかしないかは、基本的には個人の判断ですが「今回の件は、離婚よりも前にすることがあるように思います」と、夫婦カウンセラーの原嶋さん。

「まず、『こうした贈り合いは気を使い合うだけだからやめたい』と断りを入れていたとのことですが、『私は気を使ってないから大丈夫』と感じてしまう人には、意図がまったく伝わりません。遠回しな言葉ではなく、『実家は年金暮らしで、慎ましく暮らしている。高額な贈り物が負担になっているのでやめてほしい』と、はっきり伝えるべきでしょう」

 もちろん、そこまで実情を明かすのは、両親も望んでいない場合があります。

 また、実母は返礼をしなければと義務を感じているようですが、お歳暮は「普段からお世話になっていること」への感謝の気持ちを表すもの。基本的には「お返しが不要」だと伝えましょう。それでも納得をしないようであれば、次のような方法もあると原嶋さんはアドバイスします。

「お歳暮で相手が贈ってくれたものより高額なものを返すのは、『今後の関係性について考えさせてもらいたい』の意味になり失礼にあたるという、暗黙のルールが存在します。これを逆手にとり、先に実家から3000円程度の物を贈ってしまうのも良いかもしれません。そのうえで高額なものを贈ってくるようであれば、本当にただ贈りたいだけなので、ありがたく受け取ってしまって良いと思います」

 そして、婚家とのやりとりはそれで良いにしても、チカさん自身は夫としっかりとした話し合いの場を持つべきだと原嶋さん。

「贈り物をされる以上、気を使わないわけにはいかないこと。そもそもこうした贈り物は、事前に互いのすり合わせをすることがマナーであることなどを伝えましょう。

 話し合いの際は、感情的になったり、大げさに盛ったりせず、会社で会議をするような気持ちで伝えることが大切です。というのも、夫自身は間に挟まれているだけの立場なので、まさか自分が責められるとは思っていないから。『私の実家の経済状況を、あなたにも把握していてほしいの』とお願いする形にすると、理解してくれる可能性が高くなります」

(和栗 恵)