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帰省が憂鬱も「我慢してやり過ごす人が多い」 地方に生きづらさ感じる100人に話を聞く25歳 調査で知った女性たちの思い

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

「地方女子プロジェクト」の代表を務める山本蓮さん【写真提供:山本蓮】
「地方女子プロジェクト」の代表を務める山本蓮さん【写真提供:山本蓮】

 人口減少や地方衰退の一因といわれている、若年女性の都市部への流出。これは女性たちだけの問題なのでしょうか。25歳の女性が、女性たちのリアルな声を聞き取り調査するために立ち上げた「地方女子プロジェクト」。代表の山本蓮さんに、帰省シーズン真っ只中の今、地方に生きづらさを感じる女性たちが抱える葛藤についてお聞きしました。

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就職活動で感じた地元・山梨と東京の違い

「あなたの声を聞かせてください」

 100人の地方出身や在住女性たちの声を聞くことを目標に立ち上げられた「地方女子プロジェクト」。もうすぐ活動開始から1年が経ち、これまで実際に話を聞いた人数は80人以上に上ります。

 代表の山本さんは、山梨県出身の25歳。団体を立ち上げるきっかけになったのは、自身の就職活動でした。

「山梨と東京の両方で就職活動をしましたが、大きな違いを感じることが多々ありました。たとえば、山梨のある企業にOB訪問をした際、花形の部署は男性ばかりで、女性はマミートラックに乗った人しかいないという現実を聞きました。また、別の企業では、女性社員だけがダンスを躍るプロモーション動画を制作していたことも。女性は『職場の華』という、古い価値観が根強い印象を受けました」

 そうした経験をしたのは山本さんだけではありません。地元の先輩からも、営業職として内定が出たにもかかわらず、入社したら営業に女性はひとりもおらず、事務職に配属されたという話も聞いたそう。その後、山本さんは県内の企業に就職したものの、社内に同世代の女性はおらず、街中でも同世代を見かけることはほとんどありません。

 地方では近い世代のコミュニティを広げることの難しさを感じ、ますます若年女性が都市部へ流出する理由に疑問を抱くようになりました。こうして山本さんは、社会人2年目で、地方で生きづらさを感じる女性たちへの聞き取り調査を始めたのです。

「家の外に出たら全員敵だと思っていた」

 山本さんは活動を始めるまで、地元を出て行った人たちは課題に気づいていて、残っている人はそうした生きづらさを感じていないのではないかと思っていたそう。しかし、インタビューをしていくうちに、それが誤解であったことがわかりました。

 とくに印象に残っているのは、富山県在住のさおりさん(仮名)です。県内で生まれ育ったものの、結婚を期に県内の別の街へと移住。さおりさん夫婦は子どもを希望しており、不妊治療を受けていましたが、なかなか授かることができなかったそうです。

「さおりさんの住む地域では、子どもを持つ予定を聞かれるのは当たり前。『早く子ども作りなよ』などと言われ、子どもが欲しかったさおりさんにとってはすごくストレスだったそうです。なかでも印象的だったのが、『家の外に出たら全員敵だと思っていた』という言葉。それほどまでに追い詰められていたんです」

 山本さんはさおりさんの話を聞いて、地方に住んでいるからといって、その地域の風潮や習慣に同意しているわけではないという根本的なことに気がついたといいます。そして、どこで暮らしていたとしても、人それぞれの生き方があり、尊重される社会でなければならないという考えが広まってほしいと、よりいっそう感じました。